短編 鬼滅の刃

炭治郎と春の訪れ ページ1

「本当に!!!?」

夜深くに私の声が大きく響いてしまった

炭治郎が長期任務を終えて久々の再開が出来ると
鎹鴉が教える為に窓辺に来てくれたから。

「ありがとうね、鴉さん」

お礼を伝えると、元気よくカァーー！と鳴きながら羽ばたいて行った

寝ているのが勿体なくて、
そーっと襖を開けて外に出る

季節は春。
夜桜が月に照らされ、青白く咲き乱れている

昼間の気温はだいぶ暖かくなってきたとは言え
夜風が冷たく肌に刺さる。

「はぁ……早く会いたい……」

シン、と静まり返る空気にポツリと呟く
風邪を引く前に部屋に戻り、
嬉しさが有り余るので布団に包まる。

帰ってきた炭治郎をどう迎えよう？

甘露寺さんから戴いた桜餅を一緒に食べようか

近くの桜道を手を繋いで歩こうか

夫婦のように「おかえりなさい」って言いたいな

久々の夜は同じ布団で………

あぁ、なんだか眠れなくなってきた。

炭治郎が帰ってくる前にめかしこみたいから
早く寝ないといけないのに！

どき、どき、どき
心臓がうるさくて眠れない。

あぁ…楽しみだ。
今夜は長くなりそうだから
炭治郎との思い出でも思い出そうかな…


…


あんなに夜遅くの就寝になったのに
しゃきっと起きてしまった。

だって！楽しみすぎるんだもの！

久々に会う炭治郎…


怪我はしてないだろうか？

禰豆子ちゃんは元気だろうか？

私への愛が冷めてはいないだろうか？


「……あぁ、会いたい…」

鏡の前で髪に櫛を入れて梳かしながら
はぁ、とため息をつく

恋愛するのも大変だ。
悩みがポンポン浮かんでしまう。

紅を唇に乗せ、鏡を見る。

もっと可愛らしい顔立ちだったら、

もっと綺麗な体型だったら、

自信を持って炭治郎を愛せたのかしら。

止まないため息
遠くから鴉の声がした

「炭治郎！」

今までの雑念は何だったのか、
すっかり頭から消えてしまうのだから恋ってすごい。

めかし込んだすべてが乱れないように、
でも会いたい気持ちが先に走る

炭治郎を確認した時、
私の胸は温かさいっぱいに埋め尽くされた

「炭治郎ー！おかえりーっ！」

手を大きく振ると
炭治郎も手を上げて応えてくれる

「Aー！ただいまーっ！」

あぁ、幸せだ。

大怪我をせず帰ってきてくれる事が
何よりも幸せで、
春の陽気よりも私を温かくした。

炭治郎とお題　キスマーク→

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