初恋 (ページ29)

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卒業ページ29

ついに、この日が来てしまった…

結局、第1志望校には落ちたものの

受かった女子校を蹴って、

県内の私立の共学に入学手続きをした。

今日は、スッキリしない卒業予行練習の日だった。

担任の先生に

「地元の中学行かない人は、前で挨拶な」

と言われていたからだ。

あれから席替えをして、

臨は教卓の目の前の席に、

自分と仲のいい子と隣で座っていた。

最初の子が話し終わり、

自分の名前が呼ばれてしまった。

教室は騒然とした空気に包まれる。

誰にも4年間明かさなかった事実。

やっと堂々と話せる日が来た。

でも、来なくていいとも、思っていた。

「えーっと、改めまして、菊池Aです…」

猫が目を見開いている。

おまけに口まで空いている。

隣のアイツも泣いていた。

「みんなにはずっと黙ってたんだけど、」

チラッと目が合って、胸が高鳴る。

そんなに悲しそうな目で見ないで。

「中学受験をして、県内の私立に通うことになったので……みんなとは、違う学校です…」

何故だろうか。

妙にモヤが晴れた気がする。

心から、わだかまりが抜け落ちる。

そして、

女子勢はみんな大泣き。

ありがとう。

初めて知ったよ私。

そんなに大切にされてたんだね…

自分には価値がないなんて思ってた。

でもそんなの、気のせいだった。

今の私は、人生でいちばんと言っていいほど、

晴れやかだった。