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そんなある日、図工で絵描きの授業があった。
「自分の好きな場所で『木』の絵を描きましょう!」
木か……
好きな場所って…私外出ないからなぁ……
絵の具セットと画用紙を持って、ふらふら外へ出た。
別に校内でもいいんだろうけど、
どうせなら風に当たりながら描きたかった。
「あ、A〜」
「えっ!?」
声の主は臨だった。
「どこで描くの?」
「まだ決めてない」
「俺も」
いつの間にか二人で校庭のど真ん中にいた。
心臓の音が煩くて、臨の方を見れない。
「あ、俺あそこにしようかな」
「ん?……えっちょっ…」
「A行こう」
「えっ」
「……あそこ嫌?」
「いやっ……別にそういう訳じゃ無くて…」
「じゃあ行こっ」
「わっ!?」
私の手を掴んでずんずん進んでいく臨。
本当は臨が何処をいいと言って指差したのか分からなかった。
みんなの視線をひとり気にしても、臨が手を離さないんだから仕方ない。
辿り着いたのは、ジャングルジムなどの、遊具が集まっているところだった。
「どこ座ろうかな〜」
「んー………あ、あそこは?」
「あっいいね!」
「私ここにしよっ」
なんだか名前の付けがたいような遊具の高い足場によじ登って座った。
「臨?」
「……ん?」
「来ないの?」
「へっ?」
「いや、臨が違うところがいいって言うんなら、別に、その……」
「今行くよ」
「…えっ」
あっという間に登ってきて、私の右隣に座った。
「じゃあ描こう!」
「…うん!」
ま、待って待って待って、すんごい近いんだけど…///
臨の横顔をチラチラ見てしまう。
「えっ!?臨、背景から描くの?」
「あーバレた?」
「え///う、うん、まあ…」
照れくさそうにした顔が可愛い。
「俺は人と違う書き方をするんだ〜」
「んーでも、やっぱ変じゃない?」
「いいの!」
ドキ ドキの絵描き授業だ。
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作者名:明音 | 作成日時:2016年12月26日 17時