61 ページ37
「あ、河口先生すみません…」
「いや……櫻井が、それでいいなら、俺は」
「ありがとうございます」
「皆にはずっと言っていなかったが……」
「っ…」
「俺は、櫻井Aの兄だ」
「ええっ!?」
「何それ〜」
「ジョーダンじゃないのー」
「全然似てなくねー？」
「うっそ…櫻井先生が……」
「はい、皆静かに」
「……」
「A…？こっち来てよ」
「う、うん…」
正直、あんまり足が進まなかった。
皆のリアクションとか見てると、これからが凄く不安で……
「俺達はずっと、その事を隠してきたのは、皆も察しがつくな？」
「でも…なんで隠したりなんか……」
「俺だって、本当は隠したくなかった。でも、Aの立場とか気持ちを考えると………必ず、嫉妬したり、いじめたり、嫌味を言ったり、そういう人が出てくるだろ？」
「まあそれは……」
「俺はぜってーそうゆー奴許さねぇけどなー」
「…和也」
「だって、そんな奴いない方がいいじゃん。今だって、絶対そうやって感じた奴いると思うし」
「……まあ、そうかもな、いてほしくないけど」
「そういう人ってさ、こんな二人の苦しみも、悲しみも、悩みも、何にも汲んでやれないんだよな、ホンット最低」
「俺も二宮に賛同〜」
「…潤……！」
「俺そうゆー人間アレルギーだから」
「ありがとう、二宮、松本」
「とにかく…そういう事だから……よろ、しく………」
「えっ!?翔にい!!」
教壇で倒れた翔にいは、再び病院へ搬送。
やっぱり、翔にいは病院を脱け出して来ていて、朝から行方不明だったと言う。
すると、あんな状態で、しかも徒歩でこの学校まで来たという事になる。
翔にい……必死だったんだ。
「よろしくお願いします」
「Aさんは乗りますか？」
「えっと…」
ふと、後ろを振り返る。
「(行ってこいよ)」
二人が、そう言っている気がした。
でも、
「今日中には退院出来そうですか？」
「う〜んまだ分からないけど、早くて明日かな」
「じゃあ、今夜病院に伺いますので、今は大丈夫です」
「分かりました、ではまた後ほど」
ガタンっ
「おい、行かなくて良かったのかよ」
「うん、大丈夫。どうせ……
ちゃんと授業受けろって言うだろうから」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：明音 | 作成日時：2016年10月19日 19時
