〜126 ページ26
ブラピとはしばらく顔を合わせたくない。エルもそう。
ピットはどこかへ行ってしまった。
チャトは神殿内を散歩中。
誰もいない物静かな部屋の中で、ただぼーっとしている。
私はこれからどうすればいい？
ブラピに存在を忘れられてしまった。
それだけじゃなくて、彼にとって今の私は鬱陶しくてお節介な邪魔者。
もう、一緒に生きることは難しいかもしれない。
1人で地上に戻ったらどうなる？
自分の身はなんとか守れるようになったけど、名前を呼んでくれたり、あたたかく出迎えてくれる人はいない。
良くいえば自由。悪くいえば孤独。
パルテナさまに見放されてしまえば、私はひとりぼっち。
かと言って、媚を売るようなことはしたくない。
ああ、わたしって本当にわがままだなぁ。
「どうぞ。」
いつまでも暗い気持ちから抜け出せない。
気分転換をしたくて、近くのイカロスさんの部屋を訪ねて紙束と鉛筆を借りた。
「絵でも描くのですか？」
頷いてお礼を言って、すぐに元の部屋に戻ってきた。
ベッドに座って、膝に紙束を置いて、左手に鉛筆を持った。
小さい頃によく両親の似顔絵を描いていた。
得意ではなかったけど、両親が褒めてくれるのが嬉しくていつも描いていた。
「小太りで…目がまん丸…」
記憶の中のお母さんを描いた。
小さい頃よりずっと下手。
だけど、優しく笑っている。
「眉毛が短くて…細い目…」
次はお父さんを描いた。
お母さんとは面白いくらいに対照的な見た目をしていた。
それから、両親の怒った顔、哀しそうな顔、楽しそうな顔を続けて描いた。
こんな顔だったっけ。
ふと、窓に映る自分の顔を見た。
眉毛が太くて、パッとしない目。
私は両親のどっちに似たのかな。
描いた両親の顔と自分の顔を見比べたけど、どっちにも似ていない。
よくよく思い出せば、目の色も髪の色も、両親とは違う。
今まで考えたことはなかったけど、私と両親の共通点は無いに等しい。
…私は何を考えているの？
私を産んで、名前をつけてくれたのはお母さん。
私を育てるためにいつも働いていたのはお父さん。
絶対にそう。そうでなければおかしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
•:*+.ユミ.+*:• - 夢主の、本名がわかった途端、鳥肌が立ちました‼️これから、どうやって物語が進んでいくのか、楽しみです😆😍 (2021年12月5日 23時) (
レス) @page35 id: d5a0a5071d (このIDを非表示/違反報告)
きういち(プロフ) - みかんの缶詰さん» 回収できていないものもあるのですが、頑張って回収して行きたいと思います！ありがとうございます！ (2021年8月12日 7時) (レス) id: 3cf9b90fb6 (このIDを非表示/違反報告)
きういち(プロフ) - うさ丸032さん» ありがとうございます！私自身もハラハラドキドキ展開が好きでつい詰め込みすぎてしまいますが…これからもどうぞよろしくお願い致します！！ (2021年8月12日 7時) (レス) id: 3cf9b90fb6 (このIDを非表示/違反報告)
みかんの缶詰 - きういちさんの小説は伏線回収が素晴らしすぎて、何度読み返しても全然飽きません！これからも楽しく読ませていただきます！そして、応援しています！ (2021年8月11日 20時) (レス) id: a9da165b13 (このIDを非表示/違反報告)
うさ丸032(プロフ) - きういちさんの小説をずっと見ている者です！今回もとっても面白いかつドキドキする展開がまた僕にとっては面白さが湧き立ちます！きういちさん、ずっと応援しています！！頑張ってください！！！ (2021年8月7日 14時) (レス) id: 8172536591 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きういち | 作成日時：2021年8月3日 13時
