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林に入ってから3時間くらい経過した。

ここはどこを見渡しても木ばかり。

ピットは白い服を着ているから、木々の緑の中でも目立つと思う。
だけど、一向に見当たらない。

もしかしたら、私の推測は外れていたのかもしれない。


「早く射爪使いてぇなぁ。」


ピットどころか、犯人にも遭遇しない。
このままじゃ、私たちの体力が限界に達してしまう。


「なあ、ちょっと休もうぜ…」


苦しそうな顔をするエルは、顔の汗を手で拭って近くの低木の側に座った。

それと同時に、エルの前に水が入ったボトルが現れた。


「ああ、ありがとう女神さん…」


パルテナさまが転送したものみたい。
エルは射爪を外してその水を一気に飲んで、一息ついて呟いた。


「車輪の跡みたいに、目印があれば良いんだけどな。」

「目印…」


本当にピットがここへ逃げ込んでいるのなら、敵を撒くために自分の気配を消していると思う。

目印なんて残したら、逆に危険度が上がってしまう。

あっちが目印を残せないのなら…



「…どうした、深呼吸か?」


深く息を吸う。
そして、声を混ぜて思い切り吐き出す。



「ピットおぉぉぉッ!」


今までにないくらいに叫んだ。
裏返ってしまったし、喉が痛い。

だけど、私の声は遠くまで響いている。



「…え?」

「急に叫んでごめん。」



びっくりして苦笑いするエルは、私に水を差し出した。
ありがたく受け取って飲んだ。



「これまた大胆な方法だな…敵に見つかるかもしれないぞ。」

「構わない。」



叫んでから1分ほど経過したけど、周りに人の気配はしない。

林は広いから、一回で届くはずがない。



「エルも叫ぼう。」

「えぇ…」


エルの手を引いて立ち上がらせて、また歩き出した。

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•:*+.ユミ.+*:• - 夢主の、本名がわかった途端、鳥肌が立ちました‼️これから、どうやって物語が進んでいくのか、楽しみです😆😍 (2021年12月5日 23時) (レス) @page35 id: d5a0a5071d (このIDを非表示/違反報告)
きういち(プロフ) - みかんの缶詰さん» 回収できていないものもあるのですが、頑張って回収して行きたいと思います!ありがとうございます! (2021年8月12日 7時) (レス) id: 3cf9b90fb6 (このIDを非表示/違反報告)
きういち(プロフ) - うさ丸032さん» ありがとうございます!私自身もハラハラドキドキ展開が好きでつい詰め込みすぎてしまいますが…これからもどうぞよろしくお願い致します!! (2021年8月12日 7時) (レス) id: 3cf9b90fb6 (このIDを非表示/違反報告)
みかんの缶詰 - きういちさんの小説は伏線回収が素晴らしすぎて、何度読み返しても全然飽きません!これからも楽しく読ませていただきます!そして、応援しています! (2021年8月11日 20時) (レス) id: a9da165b13 (このIDを非表示/違反報告)
うさ丸032(プロフ) - きういちさんの小説をずっと見ている者です!今回もとっても面白いかつドキドキする展開がまた僕にとっては面白さが湧き立ちます!きういちさん、ずっと応援しています!!頑張ってください!!! (2021年8月7日 14時) (レス) id: 8172536591 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きういち | 作成日時:2021年8月3日 13時

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