〜48 ブラピside ページ48
人間の街に入る前に、オレの羽衣をフィヨルドの首元に巻いた。
「こうしていれば目立たない。なるべく顔を見せるなよ。」
口元は羽衣で、目元は前髪で、なんとか目立たないように隠させた。
「あったかい…」
頬を赤くして、顔を羽衣にうずめた。
そして、そのままオレの左手を握った。
フィヨルドの手は冷たい。
「こうしてたら親子だと思われるかな。」
「親子は無理があるだろ…」
「じゃあ兄妹？」
「天使の兄を持つ人間がいるか？」
「それなら…」
口を開く前に、彼女の手を引いて歩き出した。
「言わなくて…いい。」
「わかった。」
何を言おうとしたか察してしまった自分が、気持ち悪いというか、気色悪いというか…
とにかく、フィヨルドと逸れてしまっては洒落にならない。
少し照れ臭いが、手を握ったまま街に入った。
賑わう人混みを見て、フィヨルドは目を輝かせている。
「こんなにいっぱいの人を見たの…久しぶり。」
オレにとっては邪魔でしかない人混みも、フィヨルドにとっては懐かしい故郷のようなもの。
何も言わずにただ人々を眺めていたが、急にはっとして何かを見つけた。
「ブラピ、あの子…」
フィヨルドが指差す方へ目を向けると、小さい男児が人波にもまれて泣いていた。
「迷子かな。それとも…」
フィヨルドと同じように、誰かに追われている子供か。
「いや…考えすぎだろ。」
それでも心配になったのか、オレの手を離してその子供の方へ駆け寄った。
「あ、おいバカ！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きういち(プロフ) - タルトさん» いいだろぉう？うちの子1素直なの (2020年8月7日 0時) (
レス) id: b59611960a (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 素直すぎるフィヨルドさんかわゆす (2020年8月6日 23時) (レス) id: f82116cd88 (このIDを非表示/違反報告)
零々 - (*´∇｀*)ﾝﾌﾌ (2020年7月18日 17時) (レス) id: 93a6410874 (このIDを非表示/違反報告)
きういち(プロフ) - 零々さん» ありがとうございます！頑張りまぁぁぁす！ (2020年7月17日 23時) (レス) id: 18cefecbc6 (このIDを非表示/違反報告)
零々 - ﾜｱｧｧｧ( ☆∀☆)とても面白いです！更新頑張ってください！ (2020年7月17日 21時) (レス) id: 93a6410874 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きういち | 作成日時：2020年6月16日 23時
