宝石とボロ布 -1- (ページ28)

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ピットとその他の天使たちが、ブラピの捜索のために出払って行った。

でも、日が沈んでも彼は見つかることはなかった。

それまでの間、私はパルテナさまの指示で大きな温泉に入り、身嗜みを整えた。

そして今、私は広い食堂のような所にいる。
目の前には、今まで見たことのないような豪華な料理。

「好きなだけ食べて良いのですよ？今まで辛かったのですから…」

パルテナさまは、私の過去、状況を知っていて、優しさでこんなに贅沢にしてくれている。

本来の私なら、お腹が苦しくなるまで食べるだろう。

でも今は食欲がない。

「ブラピが心配なのは十分わかりますが、何も食べずにいてはあなたの体力が低下してしまいます。」

「慣れてるから…大丈夫。」

「体力低下に慣れなんてありません。命に関わる問題ですよ。」

あまりにしつこく言いつけてくるから、仕方なくピットにもらった飴を口に入れた。

その様子を見たパルテナさまはため息を吐いた。

「食べる気になったら、すぐに言ってくださいね。」

飴を舐めながら頷いた。

「大丈夫だって。あいつはまだ生きてるよ。」

髪が濡れ湯気が立っているピットが、いっぱいの料理を乗せたトレーを、私の隣の席のテーブルに置いた。

「何度も死にそうな目にあったけど、必ず戻ってくるんだから。」

生きていればそれで良い。というわけではない。

「もし野蛮な男に無理矢理こき使われていたら？」

「あんな狂犬みたいなブラピが容易く言うこと聞くと思う？」

「負傷して、武器も持っていない状態でも？」

「それは…」

苦笑いしながら、固まってしまった。
その顔を見て、気が付いた。

ピットは私のために励ましてくれている。

それなのに、私は彼の言う事を否定してしまった。

「…ごめんなさい。」

静かに席に座ったピットは、トレーのパンを手に取り、千切って私の口元まで持ってきた。

「…食べよう？」

優しく笑っている。

「うん。」