宝石とボロ布 -1- (ページ26)

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「おはようございます。」

目を開けると、聞き覚えのない女性の声が聞こえた。

首を傾けると、見知らぬ女性が見えた。
長い緑髪、ピットの衣服と似ている格好…

「あなたは…ピットの女神様…」

「あら、随分察しが良いのですね。私は光の女神、パルテナ。」

体を起こして、辺りを見渡した。
清潔感のある、広々とした空間。

「ここはどこ？ピットは？」

「ここは私の神殿です。ピットは現在、ブラピを捜索しています。」

ブラピを捜索？

「あなたはさっき、ピットに何を話したの？」

今まで笑顔だったパルテナさまは、さっきのピットと同様、真剣な顔をした。

「あなたがピットと川に行っている間、ブラピが人間と接触しました。」

「私を追っている人間？」

「いえ、あなた自身を追っている者ではなく…」

少し溜めて、目をそらして話を続けた。

「あなたと同じ境遇の子供を追っていた者でした。」

私と同じ境遇。
ということは、その子も誰かに買われた、もしくは拐われた身。

「ナチュレが一部始終様子を伺っていたようですが、銃声の後にブラピの消息が途絶えたと…」

「ブラピはその子を助けようとしたの？だから接触したの？」

「わかりません…」

銃声が聞こえてからブラピの反応がなくなったということは、ブラピがその人間に撃たれたのかもしれない。

まだ生きているのか、もう死んでしまったのかもわからない。

言葉には言い表せないような不安と恐怖が込み上げてくる。

「でも、私がピットと川にいた時は銃声なんて聞こえなかった。」

「最後に彼を確認した場所にピットを行かせました。そこには消音効果のある猟銃が落ちていたそうです。」

消音効果のある猟銃なら、遠くまで銃声は聞こえない。

ますます不安が押し迫ってくる。

「ブラピは…死んじゃったの？」

「不幸中の幸い…その確率は低いです。その銃の近くに、ブラピの物と思しき血痕がありました。しかし彼の体はありませんでした。」

その話を聞いて、全てを察した。

「ブラピも…拐われた…」

「ええ…子供を道具として扱う人間が、子供の遺体を回収すると思えませんからね。」