彼女。【孤爪研磨】 (ページ5)

今日:2 hit、昨日:9 hit、合計:9,295 hit

（４）ページ5

今日、同じクラスの栗原さんに頼みごとをされた。

昼休みいつも通り一人で本を読んでいた私。

だが突如、鈴を転がすような声に私の名を呼ばれた。

顔を上げてみると、驚いた。

声の主は女子からも男子からも人気者の栗原さんだった。

何故、人気者の栗原さんが誰とも触れ合おうともしない私に声を掛けたのか疑問だったが今は深く考えないことにした。

栗原さんは同じクラスの孤爪研磨という男子に伝えたい事があるが、これから職員室に向かわないといけないので代わりに伝えて欲しいと頼まれた。

伝えるだけならすぐ終わりそうなのに、と私は思ったがその言葉は飲み込んだ。

了承すると栗原さんは花笑みを浮かべ鈴を転がすような声で感謝を述べられた。

それから、踵を返し両隣にいた友達と一緒に教室を出て行った。

栗原さんが友達と一緒に楽しそうにしている所を見ると私はつくづく住む世界が違うなと思った。

長い髪の毛を三つ編みにし、メガネを掛けて誰とも仲良くしようともしない一人本を読んでいる地味な私。

対して栗原さんは髪の毛を巻き、薄く化粧をし綺麗さを保とうとする努力をしている。

また、栗原さんの優しく明るい性格は人を惹きつけてるためクラスのリーダー的な存在になっている。

そんなことを考えていたらあっという間に時間が過ぎるので、途中でやめ孤爪研磨君という男子に言伝を伝えることにした。

席を立ち孤爪研磨君の席の近くまで来ると孤爪研磨君はゲームをしていた。

話し掛けていいのか迷ったがこのまま待っていたら昼休みが終わってしまいそうだったので勇気をだして話し掛けた。

男子とは全然喋らなかったので変に緊張してしまい絞り出したような声を出してしまった。

孤爪研磨君は名を呼ばれると顔を上げ私を見た。

私はドキドキしながらも栗原さんに頼まれた言葉を全部話すと、孤爪研磨君は淡々とした声でありがとうと言い。

私は最後にゲームの邪魔をしたことを謝りまた自分の席へ戻った。