【東リベ】竜胆くんの彼女ちゃんのセコムの話【灰谷蘭】 (ページ5)

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5・後悔はしてませんページ5

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「どーしよっかなぁ」

『舞子の幸せ踏みにじったら殺すわよ』

「どーせお前には殺せねぇだろ」

『それはそう』

事実を言われ、私は口を尖らせる。
というか、私最近口調がしっちゃめっちゃかだな。統一しないと……。
幸せそうに笑う舞子(まだ付き合ってない)を眺めていれば、「A！」と私の名前を呼ばれた。

『どうした？』

「……このねるね○ねるねのキャラのぬいぐるみ入れたのA？」

『そうそう。いやぁね、一回本人にもってもらいたくて。兄の方はちょっと大学芋のぬいぐるみ持ってもろて』

「は？」

「ん？」

同じような反応する灰谷兄弟それぞれに、某知育菓子の某キャラクターのぬいぐるみと大学芋のぬいぐるみを渡す。
渡して少しさがった瞬間、私と舞子は吹いた。

色が同じ過ぎる。

「躍り子さぁん、これはどういうことだぁ？」

『どういうことって……大学芋です』

「は？」

ぐいぐいと頭を押さえられる。
あっちょッッ、いた、痛い！痛いから！ホント容赦ないな！？

『やめ、ちょ、割れる割れる頭蓋骨割れる』

「聞こえねぇなぁー」

『いだだだだだだだだだだぁぁぁあ』

「っは、おもしれ」

やっと離してくれたかと思えば、私の首に腕を絡ませた。え、これはもしかして首がボキッとかやるやつ？ボキッと逝っちゃうやつ？やだよそんなの。

『ヒュェ……』

「Aそれどういう声？？」

『死にそうな鳥の声』

舞子の綺麗なツッコミが飛び、私は答える。
ただ、私は死にそうな鳥の声を聞いたことがないので想像でしかないけれども。

「兄ちゃん、そろそろ行こうよ」

「えぇ、やだ」

「兄ちゃん！」

これ以上俺喋れねぇから、という心の叫びが聞こえたような気がする。
副音声で聞こえた気がする。

なんなら彼の顔は真っ赤になっていた。舞子には見えていないようだけれど。
そしてそれをにやにやしながら大学芋が眺めている。

『趣味悪ッ……』

絶対わかってた。絶対大学芋はわかってた。多分一目惚れしたときからわかってた。

……棒知育菓子くんが可哀想に思えてきた。心の中で手を合わせておく。

「A、連絡先ゲットした……！」

……天使だ。天使が私に囁いた。花が周りに飛んでいて、どことなくあたたかい気持ちになる。

『良かったじゃん……！それで、次に会うのはいつになるとかある？』

「ううん、まだ」

私の心が死んだ。私の天使最高に天使。