その五 ページ6
*
「それよりも、食べていいか?」
『嗚呼…どうぞ』
物好きも居たものだなぁ、と思いながら末広さんに葉っぱを渡すと条野さんが「馬鹿なんですか?」と顔をしかめた。
シャクシャクといい音を出しながら末広さんは葉っぱを食べた。無表情だからわかりにくい。一体どういう感情だよ。
『どうですか…?』
「意外と美味い」
『ですよね!?条野さんも食べますか!?』
再び異能を発動させてマンドラゴラを作り出し、即座に根っこを引きちぎる。根っこは特に美味しいわけではない…というよりかはくっっっっそ不味い。ちっちゃいときに食べてクソ不味くて吐き出した覚えがある。
「いりませんよ馬鹿なんですか?」
『む、本当に美味しいんですけど!?』
「そうだぞ条野。意外と美味かったぞ」
「ああもう死んで欲しい」
『それで、わざわざ二人なんて何の用シャクシャク…』
「シャクシャク煩いですよ二人共」
私も久々にマンドラゴラの味が恋しくなり、引きちぎって食べる。このために私の家の裏は雑草の無法地帯なのである。別に掃除がめんどくさいとかそういう理由ではない。断じて。
もう一つ無いのか、と聞いてきた末広さんにもう一本渡す。
「ああもうさっさと入りますよ!」
「条野、お前は俺たちの母親か…?」
「誰があなた達の母親ですか!!」
このビックウェーブに乗らなくちゃいけないと思い、『ママ〜!』と裏声で言ってみたところ小突かれた。痛い。多分加減はして貰ってるんだけど痛い。
『というか、私とこんなふうに話してていいんですか?』
「良いんじゃないか?」
『ならいっか』
「ああもう死んでほしい…」
条野さん最近口癖それになってません??
「というかそろそろ入らないと私勝手に入りますよ」
『やめてくださいそれだけは!!訴えられないからやめて!!』
「いやなんでここでさっきよりも心音が変化するんですか」
『ちょっと自宅栽培してるマンドラゴラに影響があるかと思いまして…』
「自宅栽培してるマンドラゴラってなんです!?」
もとい、自宅栽培してる私のかわいい植物たちである。この異能、何故か自分で栽培した植物だと威力が上がる。
『じゃあ入りますか?』
「最初からそうしてください」
ぴき、と条野さんのこめかみに何かが浮かび上がった気がする。怖いです。やめてくださいって。入った瞬間拷問ルート?なにこれ嫌だよ私。と思いながらもカバンから鍵を漁った。
99人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柏よもぎ(プロフ) - らい。さん» ありがとうございます・・・!頑張ります!! (2023年2月1日 16時) (レス) id: 541650209c (このIDを非表示/違反報告)
らい。(プロフ) - 初コメ失礼します!なんだよ大好きだよ😊ってなったので一気読みしました!更新、無理せずしていって下さると私が嬉しいです…! (2023年1月31日 17時) (レス) id: 00760fb87f (このIDを非表示/違反報告)
柏よもぎ(プロフ) - ライスカレーさん» 有難うございます・・・!!もっと面白いと思っていただけるようがんばります…! (2023年1月23日 21時) (レス) id: ef6ed653d3 (このIDを非表示/違反報告)
ライスカレー(プロフ) - コメント失礼します!!この作品面白すぎて今出てる分一気読みしちゃいました!更新楽しみにしてます(*´ω`*) (2023年1月22日 23時) (レス) @page13 id: 99fa8549ca (このIDを非表示/違反報告)
柏よもぎ(プロフ) - つゆこさん» ありがとうございますつゆこ様…!!頑張っていきます…!! (2023年1月22日 8時) (レス) id: ef6ed653d3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柏よもぎ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/ichigo15ca1/
作成日時:2022年7月30日 10時