その九 ページ21
*
「Aさん。私はそんなに頼りないですか?」
『う〜ん…人の話を聞かないところはとても』
末広さんが帰っても私を離さない条野さんは私を後ろから抱きしめた。それはもう思いっきり。
やめて!!条野さんやめて!骨が折れそうっていうのが洒落にならないくらい痛いです!!
「少なくとも鐵腸さんよりは頼れるでしょう?」
『え』
「は?」
『すみませんすみません条野さんのほうが頼れます!!』
「そうでしょうそうでしょう?全く可愛い人ですね」
世の中ではそれを恐喝っていうんですよ、と言おうとしてやめた。負ける未来しか見えなかった。というか可愛い人ってそれ褒め言葉ですか??条野さん語で遠回しにディスってるとかないですよね?だとしたら泣くんですが。
「まあ、Aさんが嫌だと言っても絶対に変わりませんから」
『おっとまさかの宣言〜〜』
いつぞや友だちが言っていたヤンデレってこういうことだったのかぁ。
「また拐われられても困りますからね」
『その説は誠に申し訳ございませんでした』
今開放されたら土下座でもする勢いで言う。以前異能技師の技術を奪おうとしていた奴らに拐われたことがあるのだが、なんだかんだで条野さんたちが助けに来てくれたのは記憶に新しい。こっぴどく叱られたことも。
いや、今思うとあそこまで怒る必要はあったのか??とは思うが。
「そういえば、」
嫌な予感がして上を向くと、とても愉しそうな条野さんと目が合った。あっこれ死んだな、と心の中で合掌していると、ソファーにぽいっと投げられた。そして、間髪を入れずに条野さんが覆いかぶさってくる。
条野さん、ソファーの位置変わってたらどうしてたんですか。その場合私骨折ってたのでは??
「鐵腸さんが触れていたのはここだけじゃないですね?」
そう言って、壊れ物を扱うかのように私の頬に触れた。
待ってくださいませ!?今日は全員何かがおかしい日なのだろうか。いつもの条野さんじゃないし、末広さんだってそうだった。
「そうですね…ここでしょうか」
くすりと笑った彼にするりと腰を撫でられて息が止まりそうになる。確かに触られたけれども条野さんには何ら関係がないと思うのですが!と反抗しようとしたものの、「関係がない、とは言わせませんからね?」と釘を差された。
『はい…』
私はもう赤面して返事をするしかできなかった。
こうして何かがおかしい一日目は過ぎ去った。早く研究したい。
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柏よもぎ(プロフ) - らい。さん» ありがとうございます・・・!頑張ります!! (2023年2月1日 16時) (レス) id: 541650209c (このIDを非表示/違反報告)
らい。(プロフ) - 初コメ失礼します!なんだよ大好きだよ😊ってなったので一気読みしました!更新、無理せずしていって下さると私が嬉しいです…! (2023年1月31日 17時) (レス) id: 00760fb87f (このIDを非表示/違反報告)
柏よもぎ(プロフ) - ライスカレーさん» 有難うございます・・・!!もっと面白いと思っていただけるようがんばります…! (2023年1月23日 21時) (レス) id: ef6ed653d3 (このIDを非表示/違反報告)
ライスカレー(プロフ) - コメント失礼します!!この作品面白すぎて今出てる分一気読みしちゃいました!更新楽しみにしてます(*´ω`*) (2023年1月22日 23時) (レス) @page13 id: 99fa8549ca (このIDを非表示/違反報告)
柏よもぎ(プロフ) - つゆこさん» ありがとうございますつゆこ様…!!頑張っていきます…!! (2023年1月22日 8時) (レス) id: ef6ed653d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柏よもぎ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/ichigo15ca1/
作成日時:2022年7月30日 10時