ghost.26 ページ26
「___んくん、ころんくん」
「んん……?」
「ころんくん起きて−!」
その声でハッと目が覚めた。
目の前には、やや困ったような表情をしたAの顔があった。
あれ、僕、いつの間に寝てたんだろう……。
家に帰ってきたけど、Aがどこにも居なくて、出てくるのをずっと待ってたことは覚えてる。
そういえばソファでごろごろしながら待ってたな…。いつの間にか寝落ちしちゃってたんだ。
…………って、そうだA!
「どこ行ってたのっ!!???」
すごい剣幕で迫る僕に、Aはかなり困惑しているようだった。
寝落ちしちゃったから正確な時間は分からないけど、最低でも一時間以上はAが現れるのを待っていたことだけは覚えてる。
「こ、ころんくん落ち着いて…」
「心配した…ほんとに……。
居なくなっちゃったんじゃないかって…」
「ころんくん…ごめん…」
僕は結構、いやかなり心配していた。
消えちゃったんだ…とか、もしかして知らぬ間に成仏を…!?とか、色んなことを考えては不安を募らせていた。
Aを待っている時間は、一分一秒が本当に長くて。
時計の針が進む音をあんなに重く感じたことは無い。
「…………ごめん、ころんくん。
大変申し上げにくいのですが、
お昼寝を、しておりました……」
「……は?お昼寝…?」
「はい、そうです…。
暇だったから、お昼寝しようかなって…」
お、お昼寝……おひるね……オヒルネ…………。
つまり、僕がヒヤヒヤしながらAを待っている間、Aはすやすやと眠っていたと…?
……………な、なにそれ…。
一気に全身の力が抜けた。
なんだったんだあの時間は…。
そうか、お昼寝という選択肢があったか…。
Aは幽霊だけど、どういう訳か眠れるらしく、夜、僕が寝ている間はAも寝ている。
そして眠っている間は姿が見えなくなるようで、僕が夜中にたまに目が覚めてリビングに行っても、Aの姿は見えなかったりする。
ちなみに眠気や睡眠欲といったものは無いらしい。
「心配かけちゃったみたいでごめんね…。
まさか早く帰ってきてるとは思わなくて…」
「……うん、まぁいいよ別に。
その代わり!今からめいっぱい遊んでもらうから!」
「ころんくん…。
……うん…!」
何はともあれ、Aが消えちゃわなくてよかった。
……そして、Aはお昼寝するってことを、常に頭に入れておこう…。
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ましゅ☆まろ。紫月まろ。(プロフ) - とっても面白かったです!今更ながらですが、完結おめでとうございます! (7月24日 12時) (レス) @page50 id: df7b4f216a (このIDを非表示/違反報告)
葉琥(プロフ) - 完結おめでとうございます。信じてもらえないかもしれませんが自分も一回幽体離脱したことがあって、その時、夢主ちゃんと同じような体験があってこんな偶然あるんだな〜っと思いながら読んでましたw (2020年9月5日 23時) (レス) id: b0d47f7052 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - 完結?おめでとうございます!!さとみくんが出てきた所で一人でずっとつぼってましたwお話面白い部分もあり、切ない部分もあり、すごく面白かったです!ありがとうございました! (2020年3月29日 0時) (レス) id: d37bac9867 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - お疲れ様でした!!すごく面白かったです!! (2020年3月28日 17時) (レス) id: e38bb1f61d (このIDを非表示/違反報告)
詩織-siori‐ - すごくおもしろかったです。意外性のある作品だったので先が読めなくてすごく楽しかったです。 (2020年3月28日 15時) (レス) id: 2a36034942 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2020年2月28日 18時