【ONEPIECE】悪運も実力のうち。 (ページ6)

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006 - リンゴページ6

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これからの予定がなくなったとあれば、それはそれで暇を持て余す。そういや、どう過ごすのかまでは考えていなかった。

しゃり、しゃり。

この部屋には、大人しくリンゴを口に運び続ける私と、やかましい警報器の反響だけが取り残されている。
なるだけ時間をかけて噛み下していたつもりだったが、朝から何も食べていない胃袋が腹の虫を鳴らしてせがむものだから、数分としないうちに平らげてしまった。食欲があるのは健康な証拠だ。私の食い意地が張っているのではない。
こんなことなら、たしぎ少尉に借りていた(というより半ば強引に押し売りされた)業物の図鑑、返さなければよかったな。黒い刀身に紅い刃文が映えていたあの刀はなんて名前だったっけ。勧められなければ縁のなかった本のことさえ、いまは恋しく感じてしまう。

ふと時計を見上げる。
捕まっただの逃げられただの、あるいは砲撃が聞こえてくるだの。何か動きがあってもいい頃合いだとは思う。
いったい外はいまどうなっているのだろう。

…まあ、好奇心は猫をも殺すとはよく言うので、事の顛末についてはあの2人に聞くことにすればいいか。
私をこんなつまらない性格に変えた『悪運』という特異体質のせいで、命知らずのじゃじゃ馬娘は、義務教育課程の修了と同時に卒業せざるを得なかったのだから。

頭を使うにもエネルギーが浪費される。やれることを思いつきそうもないので、さっさと寝て明日に備えよう。
二度寝のためにぐしゃぐしゃのままで広げておいた布団を被り直せば、それと同時、加減を知らない勢いで木製の扉が開け放たれた。
過去の例に漏れず、厄災を引き寄せてしまった音だった。

　(火拳のエース！大人しく出てこい！)
　(捜せ捜せー！なんとしてでも捕らえるのだ！)
　(俺のプリンを返せー！うぉー！)

くぐもった声がドップラー効果を引き起こしている。

「ここには…さすがにいるわけがないか。失礼した」

捜索の手はついにこの部屋にまで伸びたが、いまのところバレてはいないらしい。傷が塞がったばかりの怪我人が休息をとっているとあれば、布団を剥ぎ取るほど彼らも踏み込んではこないだろう。

しかし、本来は隠れる必要のない私でさえ、全身の神経が熱を持つからいけない。この状況で何も感じないほど図太かったら、もしくは異性慣れしていたら、もっと器用に生きていくこともできただろうに。

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