59雅貴side ページ9
Aを抱きしめる度、心が落ち着く。
黒い長い髪をなびかせる度触れたくなる。
最初会ったときは何この女と思ってたけど、
毎日毎日家に来て、家事とか全部してくれた。
兄貴の事だけじゃ無く俺達まで世話してくれた、
いつからか、兄貴にヤキモチ焼き始めた
Aを俺の物に出来ないかなって思ったことも多々あったけど、Aは心底兄貴を愛してた。
「Aが今の生活が楽しいなら強制はしないけど、いつかまた昔みたいにここに出入りしてほしい」
本音を言えば一緒に暮らしたかったけど、
コブラ達と居るのが幸せなら強制したくない。
涙を流しながら笑うAは、
何処かやっぱり寂しそうで。
「俺達が兄貴絶対見つけるから」
お前のためにも絶対、
Aはただ、微笑むだけだった。
Aの作ってくれた朝ごはんを食べ終わり仕事に行く準備をする。
Aは片付けとか全部済ませて俺達と外に出る。
「A俺の後ろ乗れ」
広「俺だろ？」
『どっちも一緒(笑)』
Aは俺のバイクの後ろに乗った
広斗に舌打ちされたが、安全運転は俺だからね！
と言うと先に走って行きやがった。
山王に着くと広斗は先についてて、
遅せぇよと文句を言いながら不機嫌な広斗くんになってた。
Aはバイクを降り、広斗の頭を撫でながら笑っていた。
『送ってくれてありがとう、』
「Aいつでも来ていいから」
『うん、』
Aに家の鍵を渡すと大事そうに受け取ってくれた。
広「A」
『ん？』
広斗はAにキスをする。
って！！！おい！！
「お兄ちゃんより先に！！」
広「A愛してる」
俺もAの腕を引きAにキスをする。
広斗より深いキスを、
「A俺のが愛してる！」
広「ヤキモチかよ」
「わりぃかよ！」
『あははっ、ありがとう』
Aはバイバイと手を振って見送ってくれた。
俺達はバイクを走らせその場を後にした。
Aが俺達を見ながら泣いているのも知らずに。
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作者名：いち | 作成日時：2017年10月15日 23時
