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「何笑ってるの?」
「なんでもないよ。それよりさっき言ってたびっくりする事ってなに?」
はっとした顔をして玄関に置かれた紙袋を取り、私に手渡した。
袋についたショップのロゴを見ただけで高価なものだと分かる。
戸惑いながらも開けると見覚えがあるものが出てきた。
「これって・・・」
「指輪。買っちゃった」
「私に?」
「うん」
見覚えのあるオーブの指輪。今日私がメイに買ったものと全く同じものだ。
まさかここでかぶるとは思わず固まってしまった。
「嬉しくない?」
「ううん!嬉しいよ!びっくりしただけ」
「良かった」
ほっとした様子で私の手を取ると指輪をはめた。
右手の薬指にぴったりだ。
指輪がつけられた右手を眺めた後にメイと顔を見合わせた。
「すごい可愛い!ありがとう。」
「Aが喜んでくれてよかった〜これから無くなった分のアクセサリーは俺があげるからね」
「でも、すごく高かったでしょ?」
「そんな事気にしないで。俺が満足するんだから」
「うん、でも・・・」
「俺が嬉しいの」
少し熱が冷めた瞳が私を見据える。
頷きながら腰が抜けないように自我を保つ。
この目が、好きだ。
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作者名:emilia | 作成日時:2017年9月19日 18時