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｢忘れ物？｣
｢いや、ちょっとね。上がってもいい？｣
｢別にいいけど｣
私の方をちらりと見てすぐに視線を逸らし部屋へと入っていく。
一樹に促され私達もリビングへと向かった。
｢で？｣
｢ほら、A｣
話しを振られるも、まともに顔すら見れずに自分の足元を見ながら口を開いた。
｢優さん、ごめんなさい｣
｢何が？｣
煙草を吸いながら真っ直ぐな視線を私に向けているのが分かる。
｢あの…優さんが心配してくれたのに理由も言わずに私が勝手に怒って傷付けたから…だからごめんなさい｣
｢確かに理由言われないとさすがに俺も分かんないわ。でも｣
｢…でも？｣
｢俺ももし気に触った事言ったならごめん｣
この時初めて優の顔を見た。
いまいちバツが悪そうに髪をかきあげながら視線を落としている。
｢Aはコートの事言われたのが嫌だったみたい｣
｢コート？｣
｢実はこれ俺がプレゼントしたんだよね。それで違う色がいいみたいに言われて拗ねちゃったみたい｣
｢何だよそれ…めちゃくちゃ下らねーんだけど｣
少し口角を上げながらこちらに目を向けた。
どうやら優は怒っている様子は無かった
｢下らなくないです…｣
｢うるせぇちんちくりん｣
｢あ！また言った！！｣
｢はいはい、喧嘩しない。仲直り出来て良かったね｣
｢｢してない！！！｣｣
２人してシンクロしてしまい顔を見合わせる様子を見て変わらず一樹は微笑んでいる。
｢もういいから帰れ！寝る！｣
｢言われなくても帰りますー｣
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作者名：emilia | 作成日時：2016年10月13日 12時
