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目を覚ますとベッドに横になっていた。
きっと優か燕が運んでくれたのだろう
だるかった体も幾分かましになり体を起こすと隣の部屋からテレビの音に混じって話し声が聞こえる。
喉が乾き飲み物が欲しかったが、何となく出ずらい気がして動き出せなかった。
しかし暖房が入った部屋で寝ていたせいか喉の乾きは我慢するには辛いものがあり恐る恐る戸を開ける。
「お、起きた」
「Aちゃん大丈夫?」
「大丈夫です。有難うございます…」
「水飲む?」
燕から冷蔵庫から取り出されたばかりであろうミネラルウォーターを手渡される。
お礼を言って口に含むと火照った体と乾いた喉に冷たい水が心地よく染み渡った。
「一樹ねー思ったより長引いててもうちょっと掛かっちゃうみたい」
「そうですか…」
「燕は帰んなきゃいけないらしいから、とりあえず寝て待っときゃいいよ」
「えっ!?燕さん帰っちゃうんですか?」
「うん、ごめんね。本当は居てあげたいんだけど急用で」
燕は申し訳なさそうに俯いている。
一方優は相変わらず煙草を吸いながらテレビに目を向けている。
「いえ、ありがとうございました」
「あ!Aちゃんの連絡先教えててー!」
「連絡先…」
私の携帯のメモリーには一樹の名前しかなく、それも一樹自身が入れた為あいにく私は登録の仕方さえあまり分かっていなかった。
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作者名:emilia | 作成日時:2016年10月13日 12時