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私もみんなと同じ機材車に乗り込んだ。
もちろん一樹の隣だ。
一樹を挟んで燕が話し掛けてくる
「Aちゃんっ!俺ねー一樹と高校から一緒だから一樹の事で聞きたい事あれば何でも聞いてね」
「余計な事は言わなくていいよ」
一樹と燕はじゃれ合っていて仲の良さが見て取れた。
私が何も返さずとも、めげずに話し掛けてくる所が一樹に似ている気もする。
「そうそう、一樹は王子って呼ばれてるんだよ」
「…王子?」
「うん!カフェが好きで紅茶ばっか飲んでるからかなー」
私が初めて反応した事で目をキラキラさせながら話してくれた。
王子、まさに一樹にぴったりな気がしたのだ
私を救ってくれた一樹は私の王子様だ、なんてメルヘンチックな考えに自分でも少し笑える。
「本当。一樹は王子様だね」
「もーAまでそんな事言う!」
「へー。Aって呼んでるんだ」
急に会話に入って来たのは先程煙草を加えながら車に乗って行った人だった。
名前は確か優だったはず
「Aって呼んでいいのは俺だけだから止めて」
「ただの呼び方だけでどんだけ妬いてんだよ(笑)」
一樹はムスっとした顔で優を見ている。
余裕があると思っていたのに妬いてくれるという事に少し嬉しく感じた。
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作者名:emilia | 作成日時:2016年10月13日 12時