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「家族は?」
「居るけど居ない」
「どういう事?」
「ほとんど家に居ないから全然顔合わせない」
「ずっと?」
「うん。保育園の時くらいからじゃないかな」

一樹が急に黙り込んでしまった。
やっぱり話さない方が良かったと後悔して自然と繋いでいた手を離した。
気まずい空気のまま何も話さずに家に着き一樹の後ろを着いて部屋に入る。

「何かごめんね」
「何で謝るの?」
「変な話しして」

ソファに座る一樹を直視する事も出来ず立ち尽くしてしまった。

「おいで」

両手を広げて私に微笑みかける。
恐る恐る隣に腰を下ろした

「寂しかったね」

そう言うと初めて会った時のように抱きしめてくれた。
温もりに包まれて、そっと体を預けた。

「たくさん甘えたかったよね。1人で苦しかったね」

体をとんとんと叩き、まるで子供を諭すような言葉と行動だ。
でも私にとっては安らぎの場所で、ずっとこうされたかったのだと分かった。
小さな頃から甘える事も出来ず話すこともなかった私は、こうして温もりが欲しかった。
そして何でもない会話をして笑い合いたかったのだ。

「一樹は暖かい」
「Aも暖かいよ。」

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作者名:emilia | 作成日時:2016年10月13日 12時

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