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窓から流れる景色、どこを見ても星がない。
ネオンが空を照らすだけだった

「そうだ。寄り道していい?」
「大丈夫だけど」
「いい所連れてってあげる」

車をUターンさせて走らせる。
どんどん脇道にはいって人もまばらになってきた。

「大丈夫?酔ってない?」
「うん」

曲がり道が多くなり街の建物が小さく見えてくる。
山へ登っているようだ。
窓を少し開けると冷たい風と共に澄んだ空気が入り込んでくる。
それからしばらく走っていると一樹から目を閉じるように言われた。

「なんで?」
「いいから!はい!目を閉じてて!」

怪訝な表情を浮かべたまま目を閉じた。
カーブの多さから相変わらず山道を登っている

「ちょっと待っててね」

車が止まると一樹が運転席を出て助手席のドアを開けた。
そして手を取られてゆっくり歩き出す

「開けていいよ」

目を開くと、そこには数え切れない星が輝いていた。
小さい光が無数に輝き月は静かに照らし、街を見下ろしている。

「すごい」
「でしょー?都会でもこういう所はあるんだよ」
「どうして分かったの?」
「ん?」
「ここに来る前に空を見て星が見えないって思ってたから」
「Aの事なら何でもお見通しだよ。って言いたい所だけどたまたまかな」

悪戯に笑う顔を見て繋がれた一樹の手を始めて握り返した。
やっぱり一樹は暖かい
太陽のように燦々と照らすのではなく静かに優しく私を包み込む。

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作者名:emilia | 作成日時:2016年10月13日 12時

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