【A3】この恋に、とびきりの可愛いを【瑠璃川幸】

じゅうに ページ12

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『 歳上をからかわなくていい、から 』





素直に ありがとう 、すら言えない私は

可愛いなんて言葉は不釣り合いだ。









｢ 別にからかってない ｣




抱きしめられたまま 、

そのいつもとは違う声色に顔をあげたくなる。




そんな私に気づいたのか、

幸くんは私の頭をぐっとまた力を込めて包んでしまう 。









｢ ネガティブ野郎 、ちょっとは自信もって、よ ｣









後半 、泣きそうな声に聞こえた 。



そんなことないだろうけど 。









｢ 俺のみたいな服好きなんでしょ ｣






ゆっくり 、幸くんが私に問う。





包まれた全身が熱い 。









『 ＿＿＿＿ 好き、じゃない 』








｢ 嘘つき ｣








嘘つき 、と言った言葉の声色の優しさに

思わず ハッとなる 。









『 好き、だった 』









可愛いスカートが好きだった 。


流行りの服を着て 、

普通の女の子だったと思う 。









『 でも 、好きだけじゃ駄目だったの

似合わなかったから 、私が可愛くないから 』









幸くんへの恋心も同じだ 。


彼に私は相応しくない 、もっと素敵な人がいる 。









言ってしまうとまた涙が滲んだ 。









『 離して 、肩濡れちゃ＿＿＿＿ 』









その瞬間に強まる抱きしめる力 。









｢ だから 、今だけは頼ってって言ってるでしょ ｣









私の恋心は諦めるということを知らないらしい 。









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