おかえりアリス、さよならワンダーランド【茅ヶ崎至】【帽子屋】 (ページ6)

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この世界とさようならページ6

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帽子屋さんに強引に手を引かれて綴くんとお別れ。
綴くんは白くて長い耳をぴょこぴょこさせて歩いていった。

｢アリスはその綴って人と知り合いなの？｣

｢大学の後輩なんです｣

｢へー｣

｢聞いてきた割に、微妙な反応ですね｣

帽子屋の茅ヶ崎先輩に兎の綴くんだなんて

へんてこな夢を見てるものだ。

｢はい、着いた｣

帽子屋さんがそういった途端、森から私たちは
飛び出しいていた。

目の前に広がるワンダーランド。

草で仕切られた迷路のようでお城も見える。

｢あの城は有名なアリスの話では女王様の物だけれどここでは王様さ、口癖は死刑｣

｢ちょっと物騒ですね、｣

話によるとクリケットがお好きなようだ、私はしたことがないからよくわからない。

ワンダーランドは広くて美しかった。
赤い薔薇がたくさん植えられていて、サンドイッチの蝶々が真っ青な空を漂う。

｢タイムリミットは残り1分か、｣

ポケットから取り出した懐中時計を見て
切なげに言った帽子屋さんは私の頭を撫でた。

｢アリス、今から言うことちゃんと覚えていて｣
＿＿＿＿目が覚めても、ね。

と付け足して、また口を開く。

柔らかなマゼンタの瞳には私が映っていた。

｢俺は、Aさんが好きだよ｣

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