今日こそはヌナを振り向かせます。

6 ページ6

決して広くはないキッチンに３人並んで、

なんだかんだ仲良くハンバーグをこねこねして。









「A見て、俺の、ハート。美味しそう。」




『うん、かわいいね。』




「ヒョン、それ真ん中、ちょっと割れてますけど」









思いのほかほのぼのとした食卓が出来上がった。







愛が溢れてはちきれたの。

と寂しそうな顔で指ハートをつくってそんなことを言ってるヒョン。




テヒョンらしい、ってそれに笑い返してる優しいヌナ。






みんなでいただきますをして、食べ進めていく。








向かい合わせで座るヌナの、綺麗な箸づかいともぐもぐする可愛い口を見ていると、





それに気づいたヌナも、こっちをじっと見てくる。





ちょっと考えるような顔をして見つめてくるから、


不思議に思いながらも僕ももぐもぐしていると、









『…あ、うさぎ………』









…………ん？？？









『あのね、昔からご飯食べてるぐう見てて、ずっと何かに見えるんだけどなんだろうって思ってて』









「…………ぶっ」









「ヒョン、笑わないで」









…もう、ヌナのほうがよっぽど小動物っぽいのに。



テヒョンイヒョンは弟うさぎ、なんて呟いて笑ってて

すぐ馬鹿にしてくるし、なんなんだ。









「……あ、ヌナ。口、ついてる」




なんとなく恥ずかしさを紛らわせたくて、目についたヌナの口の端っこを指摘するけど。





『んー、ん？ とれた？』





ぺろっと舌を出して舐めてみてるけど、違くて、
逆。









「A、こっち向いて」









素直に隣からの声に向いたヌナの口が、その長い指によってぐいっと拭われた。





むにゅっと惜しげも無く歪む、ピンク色の唇。








「…あ、」







そのまま指を自分の口に運ぶ、ヒョン。









「うん。とれた」









ありがと、とちょっと恥ずかしそうに言ったヌナの顔が、僕にはあまり見せない顔で、ムカつくほど可愛かった。









…なにそれ、ヌナ。




おもしろくない。









悔しいけど、この2人は絵になるから。



並んで街でも歩こうものなら、きっと誰もが振り返る、まさに美男美女といった感じだ。


ヒョンの、時々少し過剰ともとれるスキンシップすら

その一連の動作が妙に甘美で、思わず見入ってしまうから癪だ。

7→←5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す