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リビングに戻ると、ブランケットに包まれ、丸まっている熊に気付いた。
すぴー。と聞こえるのは熊の寝息。
「・・・大倉、おーくら。」
「・・・んぅ。」
薄っすら開く目。
その視線は私の顔を捉えて。
数秒間見つめると、今度はゆっくり口が動いた。
「・・・亮ちゃんは？」
「さっき帰った。」
そっか。と呟くと、また目を閉じようとするから、
待って。と呼び戻す。
「寝るならせめてソファで寝て。」
そう言うと、ゆったり起き上がって、
・・・向かったのは、別の部屋。
「・・・ちょっと待て。」
呼びかけても本人は、聞く耳を持たない。
大倉は明かりもつけずに部屋に入り、そのまま倒れてボフッと沈んだ。
「そこ、私のベッド。」
「・・・俺、ベッドがええ。」
「はぁ？」
家主は私なんですけど。
客人がベッドで、家主がソファってか。
ふざけんな、今すぐ退け。
そう言おうとする前に、先に口を開いたのは大倉。
「一緒に寝たらええやん。」
「何で私が……」
「・・・思い出した？」
反論の言葉を続けようとして、声が詰まった。
明かりがついていない部屋。
暗闇の中で大倉の瞳は、僅かな光を吸収して煌めく。
「・・・亮ちゃんに話したんや。」
珍しいね。なんて。
「起きてたの？」
問いかけると横に振られた首。
「Aのことなら何でも分かんねん。」
そう言って、ふわっと笑って。
見たことないような優しい笑み。
どうして、そんなに優しく笑えるんだろう。
今優しく笑われたら、私は、私は。
「・・・馬鹿。」
苦し紛れに出した声は、情けないほど震えていて。
フフッと笑った彼は、私に両腕を伸ばした。
「・・・おいで。」
言われるがまま、吸い寄せられるようにその腕に近付くと、
グッと抱き寄せられる。
感じる体温。聞こえる吐息。
どれもが、私が今まで与えられなかったもの。
「な、んで？」
「・・・俺が見つけたから。」
あぁもう。本当に調子が狂う。
私はこの男に隙を見せすぎた。
そしてこの男は、私を知りすぎた。
錦戸くんが太陽なら、大倉は月。
大倉は、私を“今のまま”でいさせてくれる人。
私を救うことも殺すこともできる人。
彼の言葉は、私を溺れさせる。言うなれば、甘いお菓子のような。
「・・・光は眩しいだけやで。」
だけど今は、その温もりが必要だった。
そっと彼に寄り添うと、腰に腕が回る。
「・・・大倉は、夜が似合うね。」
「・・・Aもな。」
そのまま、意識は落ちていった。
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なるせ*(プロフ) - 笹塚カナメさん» コメントありがとうございます!!共感していただけるのが作者としては一番嬉しいものです。感想ありがとうござました(*´▽｀*) (2018年5月16日 4時) (
レス) id: 7b25f3aafe (このIDを非表示/違反報告)
笹塚カナメ(プロフ) - 主人公の考え方、作者さんの表現力に感動いたしました。あっという間に読み終わってしまいました。これからも応援しております！ (2018年5月16日 2時) (レス) id: 180a39eeb3 (このIDを非表示/違反報告)
なるせ*(プロフ) - うさたぬき。さん» コメントありがとうございます（ ´∀｀）ここから佳境ですので続きもぜひぜひご覧下さい(*´∀`*)ノ (2018年4月11日 22時) (レス) id: 91b64b0a9a (このIDを非表示/違反報告)
うさたぬき。 - 続きが気になります！更新頑張って下さい＾＾ (2018年4月11日 16時) (レス) id: e14d5f519c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なるせ* | 作成日時：2018年4月2日 19時
