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大倉は食べ足りないようで。
購買部にパンを買いに行った。
途端に錦戸くんと二人きり。
「・・・なぁ。」
「・・・何？」
少しの間の後、
「・・・彼氏おる？」
・・・何だ、その質問。
「いるように見える？」
「・・・いや。」
「さいてー。」
「ふはっ(笑)」
笑った錦戸くんは相変わらず眩しい。
私が本当に普通の女子だったら、3秒で恋に落ちてるはず。
「じゃあ、彼氏欲しいとは思わんの？」
結局何が知りたいのか分からない彼の質問。
だけど、その質問は相変わらず直球だった。
「聞いてくるねぇ。」
「ええやん(笑)」
彼氏ねぇ。彼氏かぁ。
「・・・まぁ欲しいとは思う。」
これでも私だって女の子。
お洒落もしたいし、彼氏も欲しい。
そういうお年頃。
だけど。
「・・・でも、実際には欲しくない。」
「え、何で？」
「嫌いなの。
誰かに合わせるのも、誰かのために時間を割くのも好きじゃない。
だから、彼氏欲しいなって思ってるぐらいで丁度いい。」
冷たいと言われるのだろうか。
歪んでいるのだろうか。
きっと本当に本当に好きな人だったら、
その人のために何でもしてあげられるのだろうけど、
何をしても許してあげられるし、待ってあげられるけど、
そんな運命の人、そうそういない。
結局、少しのときめきで相手を運命の人だと錯覚してしまうだけ。
世の中妥協で成り立ってるんだから。
運命の人を探してたら、見つかる前にきっと死んじゃう。
そんなんならいっそ、いない方がましだ。
その方がきっと楽。
「・・・嫌いやないなぁ。」
予想外の言葉だった。
「へ？」
「その考え。なんとなくわかる気がする。」
錦戸くんは、空に視線を移した。
「・・・そ。」
共感されたところで、何かが変わるわけじゃない。
別に、私は関係ない。
.
「・・・どうする？俺にしとく？」
「はぁ？」
呆れた声が出た。
「成瀬さんのこと、俺なら理解してあげられるかもしれんで？
俺、成瀬さんのこと嫌いやないし。」
どう？って。
自分が、何を言ってるのか分かってるのだろうか。
ついさっき私は、「彼氏が欲しくない。」そう言ったはず。
錦戸くんはふざけているようには見えなくて。
だけど緊張しているわけでもない。
どうして、そんなことを言うのか。
風が吹き抜ける屋上、彼の本心が見えなかった。
「・・・断る。」
「・・・そっか。」
残念。と笑った彼は、
キラキラ光る太陽のようだった。
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なるせ*(プロフ) - 笹塚カナメさん» コメントありがとうございます!!共感していただけるのが作者としては一番嬉しいものです。感想ありがとうござました(*´▽｀*) (2018年5月16日 4時) (
レス) id: 7b25f3aafe (このIDを非表示/違反報告)
笹塚カナメ(プロフ) - 主人公の考え方、作者さんの表現力に感動いたしました。あっという間に読み終わってしまいました。これからも応援しております！ (2018年5月16日 2時) (レス) id: 180a39eeb3 (このIDを非表示/違反報告)
なるせ*(プロフ) - うさたぬき。さん» コメントありがとうございます（ ´∀｀）ここから佳境ですので続きもぜひぜひご覧下さい(*´∀`*)ノ (2018年4月11日 22時) (レス) id: 91b64b0a9a (このIDを非表示/違反報告)
うさたぬき。 - 続きが気になります！更新頑張って下さい＾＾ (2018年4月11日 16時) (レス) id: e14d5f519c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なるせ* | 作成日時：2018年4月2日 19時
