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錦戸くんは、さも当然のように、
私達と一緒にお昼を食べ始めた。
今日も屋上で、三人で弁当を囲んで食べる。
もし私が、とっても可愛い女の子、
それこそクラスで一番のヒロインに相応しい子だったら、
この光景は青春映画のように見えたんだろうけど。
生憎現実はそうじゃない。明らかに場違いなのは私。
私は頑張っても、ヒロインのクラスメイトがいい所だ。
だって自分でそうなるように仕向けたんだから。
・・・いや、ひょっとするとエキストラか？
まぁ別に、それを何とも思わないけど。
.
「・・・何で大倉は成瀬さんと一緒におるん？」
錦戸くんが食べているのは、今日も焼きそばパン。
彼は好きなものは一途に食べ続けるタイプらしい。
大倉はその質問に少し考えて、
そして爽やかな笑顔でこう言った。
「・・・入学式の時に見つけたんよ。
俺に興味無さそうやなぁって。・・・だから。」
・・・どうせそんなところだとは思ったよ。
自分に興味のない私は、面倒臭くないものね。
そりゃ、マトリョーシカの私は“いい子”だもの。
キラキラしたものに手を伸ばすような、馬鹿はしない。
「・・・女避け？」
「まぁ、そんなとこ。」
たとえ、利用されるだけだとしても。
「お前、クズやなぁ。」
発言者が錦戸くんだった事に少し驚いた。
大倉も一瞬驚いて。だけど、
「・・・今気づいた？」
そう言って悪びれもせず笑った顔は眩しくて、
大倉は毎日違う種類のパンを食べるタイプだった。
きっと、そういう所だ。
何だかんだ大倉を突き放せないのは。
彼は、自分が悪い奴だと分かってる。
悪い手だと知っていて、悪い手を使う。
大倉は、自分が持っている物を最大限活用しているだけのこと。
そして私は、それに利用されているだけのこと。
ヒロインが似合わない私には、ある意味適役だ。
それに。
悲劇のヒロインになるぐらいなら、一生脇役の方がましなんだから。
悲劇のヒロイン。
それは脇役が唯一“ヒロイン”になれるチャンス。
逆に言えば、普通のことではヒロインになれないということで。
そんな脇役は、自分の身に降りかかった悲劇で自分を飾り立て、
懸命に浴びたことの無いスポットライトを浴びようとする。
それはとても小賢しく、滑稽で、みじめで、醜くて。
“私可哀そうでしょ”で視線を集めるなんて、虚しいだけなのに。
そんな馬鹿な女は溢れてる。
私は、そんな女が大嫌いだ。
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なるせ*(プロフ) - 笹塚カナメさん» コメントありがとうございます!!共感していただけるのが作者としては一番嬉しいものです。感想ありがとうござました(*´▽｀*) (2018年5月16日 4時) (
レス) id: 7b25f3aafe (このIDを非表示/違反報告)
笹塚カナメ(プロフ) - 主人公の考え方、作者さんの表現力に感動いたしました。あっという間に読み終わってしまいました。これからも応援しております！ (2018年5月16日 2時) (レス) id: 180a39eeb3 (このIDを非表示/違反報告)
なるせ*(プロフ) - うさたぬき。さん» コメントありがとうございます（ ´∀｀）ここから佳境ですので続きもぜひぜひご覧下さい(*´∀`*)ノ (2018年4月11日 22時) (レス) id: 91b64b0a9a (このIDを非表示/違反報告)
うさたぬき。 - 続きが気になります！更新頑張って下さい＾＾ (2018年4月11日 16時) (レス) id: e14d5f519c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なるせ* | 作成日時：2018年4月2日 19時
