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4月。春休みが終わり、新学期。
どうしてか分からないけれど、三人同じクラスだった。
何となく、去年と一緒の窓際の席に座って。
そして。
ザワッと、教室が騒めいた。
今日も遅刻ギリギリで教室の入り口に立つのは、
・・・王子様かよ。
「髪の毛どうしたの。」
「似合ってる?」
「答えになってない。」
眩しいほどの髪の毛。
色は金というか、もう白に近いような色。
悔しいけど、よく似合ってる。
「惚れ直した?」
「惚れたつもりも無いんだけど。」
「アハッ(笑)冷た(笑)」
「・・・何でそうなったん?」
訝しげな亮くんの質問に、大倉はあっけらかんと答えた。
「会社継ぎたくないって親父に言ったらキレられてん。
どうやったら俺の事諦めてくれるかなぁと思って、思い切って髪染めたわ。」
継ぎたくないと直接言ったこと。そしてそれを笑い飛ばせること。
大倉も少し、変わったのだろうか。
日頃感じていた彼の影の部分が少しだけ薄れているような、いないような。
「馬鹿だね。」
「大胆って言ってくれへん?(笑)」
「じゃあどうすんねん、進路。」
「あぁ、俺も進学するで?」
「「え。」」
二人で顔を見合わせた。
「ちょっとぉ・・・二人とも無理って顔せんといて。」
「いや、赤点越えを狙うお前じゃ厳しいやろ。」
「亮ちゃん、はっきり言うねんな(笑)」
「マジで笑ってる場合じゃないって。志望校どこなの。」
「Aと一緒のとこ。」
「「え。」」
正気か、この男。
当の本人は、楽観視しているようで。
「猛勉強せなアカンけど、まぁ頑張るわぁ。」
そんなふわふわ笑っても大変なもんは大変なんだよ?
・・・私が言えることじゃないけど。
「どんな心境の変化?」
亮くんの質問に、大倉は少し考えて、
そして弾けるような笑顔でこう言った。
「う〜ん。
・・・自分の生きたいように生きてみようって感じ?」
その笑顔はどことなく、夢を語った日の亮くんの顔に似ていた。
「もし合格したら、大学まで一緒やなぁ。」
「ちょっと、重いから。マジでやめて。」
いつものように凭れ掛かる大倉を強めに払いのけた。
何故だか唇を尖らせているのは、亮くん。
「えぇー、ええなぁ。俺もそっちがええなぁ。」
「亮くんはダメ、自分の夢を追いかけて。」
「え、亮ちゃんの夢って何なん?」
「え、大倉知らないんだっけ。」
「え。」
・・・案外、私の青春はまだまだ続くのかもしれない。
end.
『マトリョーシカの青春』
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なるせ*(プロフ) - 笹塚カナメさん» コメントありがとうございます!!共感していただけるのが作者としては一番嬉しいものです。感想ありがとうござました(*´▽｀*) (2018年5月16日 4時) (
レス) id: 7b25f3aafe (このIDを非表示/違反報告)
笹塚カナメ(プロフ) - 主人公の考え方、作者さんの表現力に感動いたしました。あっという間に読み終わってしまいました。これからも応援しております！ (2018年5月16日 2時) (レス) id: 180a39eeb3 (このIDを非表示/違反報告)
なるせ*(プロフ) - うさたぬき。さん» コメントありがとうございます（ ´∀｀）ここから佳境ですので続きもぜひぜひご覧下さい(*´∀`*)ノ (2018年4月11日 22時) (レス) id: 91b64b0a9a (このIDを非表示/違反報告)
うさたぬき。 - 続きが気になります！更新頑張って下さい＾＾ (2018年4月11日 16時) (レス) id: e14d5f519c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なるせ* | 作成日時：2018年4月2日 19時
