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大倉と一緒にいても案外幸せなのかもしれない。
たとえ思い続けるだけでも、その行為自体に幸せを感じるのかもしれない。
だけどそれは、あまりにも虚しい。
そう気付いてしまった。
「変わったんじゃないよ。戻っただけ。」
「・・・。」
「元の私は、弱くて脆くて情けなくて欲張りな馬鹿な女なんだよ。」
私は決めたんだ。
昼に輝ける人になろうと。
たとえ傷ついても、眩し過ぎても。それでも頑張ってみようって。
確かに昼は夜と違って厳しい。
だけど。
マトリョーシカという殻を捨てたら心が軽くなったんだ。
.
「・・・じゃあ、私帰るね。」
立ち上がってスカートに着いた砂汚れを払った。
大倉は何も言わない。
ただ、寂しそうな目で私を見つめた。
さようなら、大倉。
どんな形であろうと、私の初恋は間違いなく貴方だった。
重たいドアに手を掛けて。
「・・・A。」
「・・・。」
振り向かなかった。
今振り向いたら決意が揺らいでしまう気がしたから。
そこで気付いた。
私、ちゃんと亮くんのことが好きなんだって。
振り向かないのは、ただ亮くんの為。
「・・・どうぞ、お幸せに。」
大倉はそれでもなお、夜で生きることを決めた。
この瞬間、私と彼の決別。
大きな音を立ててドアが開く。
涙なんて滲んでこなかった。
.
「もしもし。」
『家着いたん？』
「いや、今帰ってる途中。」
歩きながら電話を掛ける。
吐く息は真っ白だ。
私が電話を掛けたのは、ただ言いたかったから。
「・・・亮くん。」
『・・・何？』
亮くんの声は、不安で一杯だった。
そんな気持ちにさせたくなかった。
亮くんには、眩しく笑っていて欲しかった。
そんな亮くんが、私は好きだから。
「・・・好きだよ。」
こんな台詞を吐く日が来るなんて、誰が想像しただろう。
でも言わないと伝わらない思いがあって、
押し込めずに伝えたい思いがあって。
恋だの愛だのそんなものにどっぷり浸かった私は、
やっぱりもう前の私じゃなくて。
きっと浅ましく。愚かだと。
だけどそれは、私が嫌っていた女たちとは少し違う。
・・・言葉にするのは難しいけれど。
今思うのは、
貴方に愛されたい。
そんな私。
『・・・何やねん(笑)』
「ふふ(笑)」
きっと今電話越しの亮くんは、後頭部を掻いて照れているに違いない。
.
『俺も、好き・・・やけど。』
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なるせ*(プロフ) - 笹塚カナメさん» コメントありがとうございます!!共感していただけるのが作者としては一番嬉しいものです。感想ありがとうござました(*´▽｀*) (2018年5月16日 4時) (
レス) id: 7b25f3aafe (このIDを非表示/違反報告)
笹塚カナメ(プロフ) - 主人公の考え方、作者さんの表現力に感動いたしました。あっという間に読み終わってしまいました。これからも応援しております！ (2018年5月16日 2時) (レス) id: 180a39eeb3 (このIDを非表示/違反報告)
なるせ*(プロフ) - うさたぬき。さん» コメントありがとうございます（ ´∀｀）ここから佳境ですので続きもぜひぜひご覧下さい(*´∀`*)ノ (2018年4月11日 22時) (レス) id: 91b64b0a9a (このIDを非表示/違反報告)
うさたぬき。 - 続きが気になります！更新頑張って下さい＾＾ (2018年4月11日 16時) (レス) id: e14d5f519c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なるせ* | 作成日時：2018年4月2日 19時
