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10月。季節は秋になった。
夏休み、体育祭、文化祭、定期テストを乗り越えた私達は、
比較的穏やかな日々を送っていた。
そんなある日。休み時間、唐突に言われた。
「A、放課後暇？」
「暇だけど。」
「・・・じゃあその時間、俺に頂戴？」
「は。」
机に頬杖をつき、ニッコリ笑ってそう言う大倉。
きっとこれをやる自分がカッコいいって分かってやってるんだろうけど。
いや、確かに様にはなってるけど。
その誘い文句わざわざ使う必要なくない？
そもそも何？放課後暇？って。
瞬時にいろいろなことが駆け巡った私の顔は、どうやら険しかったようで。
「めっちゃ顔顰めてるやん(笑)」
「ホンマや、ブサイク(笑)」
「おい。」
誰だ今、ブサイクって言ったやつ。
「・・・シバくぞ。」
慣れない関西弁で、精一杯どすの効いた声でそう言うと、
急に震え上がる二人。
「・・・ごめんって。」
「可愛い、Aは可愛い。」
「うん。ホンマ、絶世の美女。」
絶対こいつらふざけてる。
特に大倉、絶世の美女とか馬鹿にしすぎ。
「思ってもないくせに言うな。」
「「すみません・・・。」」
最後にチッと舌打ちを付け加えて。
それで。
・・・そういえば、何の話してたっけ？
「・・・それで？放課後が何て？」
「えっと、放課後ですね。来て欲しい所がありまして・・・。」
「ぜひ、来ていただきたいと・・・・。」
いや、こいつら態度変わりすぎだろ。
そのヘコヘコした態度に思わず笑ってしまって。
・・・私の負け。
「分かった、いいよ。」
「「姐さん、ありがとうございます！！」」
「そのキャラ何(笑)」
結局その日は放課後まで、私は“姐さん”になった。
.
連れてこられたのは、廃工場。
まず目に入ったのは、ドラムセットだった。
「練習すんの？」
「おん。」
大倉の趣味がドラムだということは知っている。
そして大倉が週に何回か練習していることも。
その姿を最後に見たのは去年の夏。
その時。
一瞬でこの暗い廃工場を明るくするような音が響く。
その音を奏でたのは。
「ギター弾けるんだ。」
「・・・まぁ。」
そういえば、そんなこと言ってたっけ。
照れ臭そうに笑った錦戸くんは、曲を演奏しはじめた。
それに合わせて鳴り響くドラム。
唐突に始まったセッション。
私はただ立って、その音を受け止めた。
悔しいけど、音を奏でる彼らは普段の何倍も魅力的だ。
音には、その力がある。
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なるせ*(プロフ) - 笹塚カナメさん» コメントありがとうございます!!共感していただけるのが作者としては一番嬉しいものです。感想ありがとうござました(*´▽｀*) (2018年5月16日 4時) (
レス) id: 7b25f3aafe (このIDを非表示/違反報告)
笹塚カナメ(プロフ) - 主人公の考え方、作者さんの表現力に感動いたしました。あっという間に読み終わってしまいました。これからも応援しております！ (2018年5月16日 2時) (レス) id: 180a39eeb3 (このIDを非表示/違反報告)
なるせ*(プロフ) - うさたぬき。さん» コメントありがとうございます（ ´∀｀）ここから佳境ですので続きもぜひぜひご覧下さい(*´∀`*)ノ (2018年4月11日 22時) (レス) id: 91b64b0a9a (このIDを非表示/違反報告)
うさたぬき。 - 続きが気になります！更新頑張って下さい＾＾ (2018年4月11日 16時) (レス) id: e14d5f519c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なるせ* | 作成日時：2018年4月2日 19時
