黒髪×先生 ページ10
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「・・・将来はどうするん？」
「決まってないです。とりあえず進学で。」
高校三年生になった。
私が通うのは自称進学校で、やれ国公立行けだの、やれ高いとこ目指せだの。
・・・人の人生ぐらい好きに決めさせろっつーの。
正直言って、やりたいこととか夢とか無くて。
文句言われないようにとりあえず進学希望。
高三初っ端の二者面談。
私の気持ちを見透かしてか、担任の大倉先生は整った顔で綺麗に笑う。
「まぁ、そんなもんか(笑)」
「・・・目標高く持て、とか言わないんですか。」
毎年のように言われてきた言葉が返ってこなくて思わず拍子抜けした。
大倉先生は、人懐っこい笑顔を浮かべる。
「Aさんの気持ち分かるもん。
だって無理な話やろ？(笑)将来決めろとか。
何があるか分からんのが人生やし、せやのに夢無いとか言ったら怒られるやろ？
理不尽やんなぁ。」
「・・・結構辛口なんですね。先生。」
その笑顔からは想像できないほどの毒を吐いた先生。
そう言うと、先生は苦笑する。
「先生ってな、結構ストレス溜まんねん。特にうちの学校、“自称”進学校やろ？
生徒の面倒も見ないとアカンし、部活の顧問もせんとアカンし・・・。
まぁ、結構ブラックやで？ホンマに。
残業100時間以内？普通に超えてるわ(笑)」
「・・・私、教師にだけはならないようにしますね。」
「ふは(笑)覚悟が無いならそれがええよ。」
結局何も決まらずに終わった二者面談。
高三の担任が大倉先生でホントによかったなぁって。
そんな事を思いながら。
「・・・ありがとうございました。」
「ん。まぁぼちぼち頑張ればええと思うよ。」
「はい。」
もう一回お礼を言って、部屋から出ようとすると。
「・・・あ、Aさん。」
「・・・はい？」
呼び止めた大倉先生は、
「さっき言ったこと、全部秘密な。」
そう言って悪戯っぽく笑うんだ。
「・・・教師が秘密とかいいんですか？」
「ええの、Aさんとやから。」
・・・あぁもう。勉強頑張ろうとか、思っちゃったじゃん。
end.
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作者名：なるせ* | 作成日時：2018年5月16日 4時
