茶髪×チョコレート ページ3
.
「・・・なぁ、食べる？」
「ん？」
「駅前に、チョコレート専門店オープンしてん。
前通ったから、思わず買ってしもうた。」
一口どうですか？なんて言うから。
「・・・じゃあ、貰おうかな。」
「ホンマに？・・・はい、あ〜ん。」
とびきり甘い声のあ〜ん。を聞きながら、
口で溶けるのは、どちらかというとビターなチョコレート。
・・・いや、かなり。
「苦っ！」
「アハハ(笑)A苦いの苦手やったっけ。」
「・・・そっか。忠義は甘いの苦手だったね。」
付き合い始めて大分経つ私達だけど、味の好みは相変わらず正反対。
そりゃあいくら好きだからって変えられないものもある。
けど、これがすれ違いの原因になったりしないかななんて、
不安に思ってる自分もいる。
「・・・A。」
「ん？」
ちょっと俯いてしまって。
忠義の声で、ハッと顔を上げる。
彼は優しい笑顔を浮かべ、右手にチョコレートを持っていた。
「・・・え？」
「A、あ〜ん。」
さっきのはデジャヴか。
言われるがまま口を開けて、今度放り込まれたのは。
「・・・ん。甘い。」
目を見開くと、ふにゃっと笑う忠義。
「甘くて美味しい？」
「うん。とっても！」
首を振って頷くと、忠義は私の頬に手を寄せて、
「・・・・ん、ホンマや。あまぁ(*´▽｀*)」
「ちょっと忠義///////」
私から唇を離した忠義は、ペロッと自分の唇を舐めた。
「ふふ(笑)A顔真っ赤ぁ。」
「・・・もう、見ないで。」
「ええやん。見せてよ。」
多分気付いてやってくれたんだと思う。
私が不安になったのに気づいて、優しく笑って、
安心させて。
「・・・ねぇ忠義。」
「ん？」
「ありがとう。」
「・・・何がぁ？」
「ふふ(笑)」
・・・あぁやっぱり、私はこの人が大好きだ。
恋は甘くて苦くて、チョコレートのようだ。
なんて、誰が言ったんだろう。
それきっと正解。
私の彼氏は、チョコレート系男子です。
end.
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作者名：なるせ* | 作成日時：2018年5月16日 4時
