銀髪×吸血鬼 ページ7
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・・・なんて、なんて美しい人だろう。
満月の夜、残業帰りの私の前に現れたのは、
月明かりに照らされた一人の男。
黒いマントを身に纏い、銀色の髪から覗くその瞳は、
金色に輝いていた。
「・・・き、れい。」
「フッ(笑)」
思わず見とれる私を鼻で笑った彼は、
ゆっくり、ゆっくりと私に近付く。
・・・そして。
「・・・お嬢さん。貴方の血、頂けますか？」
「え・・・？」
この人は、一体・・・？
何となく“普通”の人ではないと気付いて。
だけど、えぇ？
彼はそんな私を見てか、いきなり取って付けたようなお辞儀をした。
「・・・申し遅れました。
私、吸血鬼と申します。」
「吸血鬼？」
まさか。
そう言って笑おうと思ったのに、
口角を上げた彼の口から覗く牙は、
紛れもなく昔絵本で見た、吸血鬼が持っている“それ”で。
「本当に・・・？」
「嘘は言いませんよ(笑)
今宵、この満月の下貴方と出会ったのも何かの縁、
私に貴方の血を頂けませんか？」
「・・・殺すつもり、なんですか。」
吸血鬼に血を吸われた人の末路は大体知ってる。
カラッカラに干からびて死ぬか、仲間にされるか、
そのどっちかでしょう？
・・・なんて思っているのに、
逃げようという気持ちにならないのは、
きっと彼の美しさに魅入られたから。
彼はまた、鼻で笑った。
「殺しませんよ。それに仲間になることもありません。
そりゃあやろうと思えばできますけど。
・・・やります？」
「やりません！！」
「フッ(笑)確かに昔から吸血鬼は存在していました。
ただ、血を吸われて死ぬとか、ニンニクが苦手とか、
それは人間が生み出した迷信です。
我々は、人間の血を少し頂いて生活しているだけです。」
「そう、なんですか・・・。」
「それで・・・。
お嬢さんの血は頂けますか？」
「っ!!/////」
急に距離を詰めた彼。
背の高い彼のせいで、満月が隠れて少し薄暗くなる。
何より、整い過ぎた顏が目の前に。
.
「・・・血、貰ってええ?」
.
「・・・は、はい。」
私はもう、頷くしかない。
吸血鬼は、ニッコリ笑った。
・・・そして。
「________っ!!」
首筋に感じる甘い痺れ、それと同時に霞んでいく意識。
「・・・ごちそうさま。」
彼がそう言って、口元の血を拭ったところで、
私の意識は闇に沈んだ。
end.
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作者名：なるせ* | 作成日時：2018年5月16日 4時
