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ゴンとキルアが合流したのは、旅団を見つけたという一報を受けて間もなくのことだった。
Aとレオリオはカフェテリアの二階席を位置取って待機していた。窓際の席から、見下ろす形で広場のテラス席が見ることができた。

ターゲットは二人。長髪を下ろした無精髭の男とピンク色の髪の女。

標的を視認し、情報提供者に報酬金を振り込む。



「さて、問題はここからだな。どうやってあの二人を捕まえるかだが――」
「無理だね」

そう切り捨てたのは意外にもキルアだった。


「オレ達の手に負える相手じゃないよ」


彼の意見にはAも同意だった。無謀。実際に彼らを見て、より一層感じさせられた。


「……そんなに強そうなのか?」
「あそこにヒソカが二人座ってると考えたら、少し分かるか?」


互いの共通知人を例に挙げると、いかに危険か実感したようで、反発していたレオリオも押し黙った。


「なぜ、あいつらこんなとこにいると思う?」

キルアが改まった声で問うた。

「そりゃお前デートだろ、当然」
「えっ、そうなの?」

Aは口に含んだアイスティーを思わず吹き出しそうになる。

「違う」


そんなわけないだろ――キルアのこめかみが微かに震えるのが見てとれた。キルアは呆れ交じりに言葉を続ける。


「あいつら、さりげなく周囲の様子や動きに細心の注意を払ってる」


下手をすれば、こちらの動向も注意の対象になる。ここは、彼らの警戒網にかからないギリギリの距離感だった。

しかし、マフィアに追われていると知りながら、わざわざ人目につく広場に来るのは辻褄が合わない。

『まさか……』

ようやく理解する。間違っていたのはA達の前提、旅団(蜘蛛)に追われている自覚なんてないのだ。


「奴ら見つかるのを待ってる。獲物がひっかかるのを待ってんのさ」



.



その時、スイッチが入ったみたいに場の空気が一変した。不意の威圧感に襲れ、Aは体をきゅっと固くした。
テーブルの上のグラスの氷がカランと音を立てて動いた。


「すごいヤな感じでビリビリくる」
「まさかバレたか?」

キルア曰く、彼らは広場にいる人間の表情や仕草、視線などから違和感を探っているという。平然としていれば、気付かれない。

「だから今のお前らの顔やばいよ」


向かいに座るゴンとレオリオの表情は、かわいそうなほど強ばっていた。

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冬瀬(プロフ) - つんつんさん» いつもコメントありがとうございます!他作品と被らない展開にしたいと思って試行錯誤してるので嬉しいです!!ヨークシン編途中ですが、ここで続編に移行します。続きも楽しんでもらえると幸いです! (2022年1月16日 6時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
つんつん(プロフ) - 今まで結構な数のハンタ夢小説を読んできたと思っているのですが、このパターンは初めてですごい新鮮味があって続きが気になります!次回も楽しみにしてください! (2022年1月16日 3時) (レス) @page44 id: 6a1440072c (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - つんつんさん» 反応が速い!? 早速すぎてびっくりしました。めちゃ嬉しいです!次回は来年更新しますね〜!つんつん様もよいお年を。 (2021年12月29日 17時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
つんつん(プロフ) - きゃぁ〜!やばいですね夢主ちゃんカッコ良すぎます。こんなんなったらキルアもゴンも惚れちゃいますね私は惚れました。2021年夢主ちゃん大活躍で終われそうでもう何も悔いはないです。そして!またまた良いところで終わりましたね〜!続きも楽しみに待ってます (2021年12月29日 17時) (レス) @page41 id: 6a1440072c (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - つんつんさん» いつも感想ありがとうございます!続き更新しました〜。夢主活躍回!ぜひご覧ください (2021年12月29日 16時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冬瀬 | 作成日時:2019年6月24日 0時

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