・ ページ35
.
「待ちな!! その木像ここに置け！」
ゴンとキルアが骨董商で鑑定結果を告げられていた最中、静かな店内に男の声が響いた。
突如として店に入ってきたのは、ゼパイルとAだった。
ゼパイルの指さす先には、骨董商の店主から値がつかないと告げられたばかりの木像があった。
「ボウズ、騙されんな。絵やアンティークドールの値段は妥当だが、木像に関してはデタラメだ」
ゼパイルはゴンを一瞥すると、威勢よく言い放った。
「なんだキミいきなり！ ボクは嘘なんかついてないぞ」
早口で告げる店主。しかし額から汗がにじみ、明らかに動揺の色が隠せていない。
「その木に八万も出す古美術商はいねーだろ。お前が欲しいのは、その木像の
この木像は木造蔵といって、三百年前に金持ちの間で流行った税金逃れの隠し金庫だという。皮肉にも作りが巧妙すぎて、主人が死んだりすると家族が知らずに処分してしまうことがあるらしい。
芯まで木製にしては重たすぎるとは思ったが、彼の説明で納得がいった。
「年代を調べるフリして中身だけすり代える気だったろ」
ゼパイルに狙いを見破られた店主は、口をパクパクと動かすだけだった。
.
詐欺を免れたゴン達は、ゼパイルと共に店を出た。
「ギブアンドテイクってことで」
アドバイス料として、ゼパイルは当然のように木像の売上金の二割を要求してきた。助けられた恩は感じるが、今の三人は謝礼に大金を割く余裕はない。
「せいぜい昼メシおごるくらいかな」
対価の釣り合っていない代案を、なぜかすんなりと受け入れたゼパイル。そして、彼が選んだのは珍しくもないファミリーレストランだった。
「あのね、ゼパイルさん。考えたんだけど、やっぱり食事だけじゃ悪いから手数料払うよ」
「まーたお前は」
落着した話を掘り返そうとするゴンの発言に、顔がひきつるA。目の前のゼパイルは十人前の飯を平らげて尚、追加注文しようとしているのだから。
しかし、当のゼパイルはゴンの提案に乗っかかる様子はなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 637人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冬瀬(プロフ) - つんつんさん» いつもコメントありがとうございます！他作品と被らない展開にしたいと思って試行錯誤してるので嬉しいです！！ヨークシン編途中ですが、ここで続編に移行します。続きも楽しんでもらえると幸いです！ (2022年1月16日 6時) (
レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
つんつん(プロフ) - 今まで結構な数のハンタ夢小説を読んできたと思っているのですが、このパターンは初めてですごい新鮮味があって続きが気になります！次回も楽しみにしてください！ (2022年1月16日 3時) (レス) @page44 id: 6a1440072c (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - つんつんさん» 反応が速い!? 早速すぎてびっくりしました。めちゃ嬉しいです！次回は来年更新しますね〜！つんつん様もよいお年を。 (2021年12月29日 17時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
つんつん(プロフ) - きゃぁ〜！やばいですね夢主ちゃんカッコ良すぎます。こんなんなったらキルアもゴンも惚れちゃいますね私は惚れました。2021年夢主ちゃん大活躍で終われそうでもう何も悔いはないです。そして！またまた良いところで終わりましたね〜！続きも楽しみに待ってます (2021年12月29日 17時) (レス) @page41 id: 6a1440072c (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - つんつんさん» いつも感想ありがとうございます！続き更新しました〜。夢主活躍回！ぜひご覧ください (2021年12月29日 16時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冬瀬 | 作成日時：2019年6月24日 0時
