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「あっ、A!」
ゴンとキルアは、Aの到着を待っていた。Aの姿を視認したゴンは、手を高く上げて左右に振った。
『それで、……どう?』
「どうもこうも進展なし。ゼパイルって奴が全部被せてきやがったから、規定時刻待ち」
『ゼパイル……?』
どこか覚えのある名前だが、どうにも思い出せない。
規定時間まで残り十五分。Aは目星をつけた品物の場所を教えてもらい、誰がどの品を担当するかを決めてから二人と別れた。
キルアの案は思った以上に上手くいき、四勝一敗。妙な壺は奪われたが、ベンズナイフ、アンティークドール、絵画そして木像を入手することができた。
三人はレオリオへの報告を済ませ、軽やかな足取りでオークションハウスへ向かった。しかし、オークションハウスの職員の反応は、残念なものだった。
「申し訳ございませんが……」
職員の話によれば、オークションに出品するカタログは半年前には完成させるらしい。その上、カタログに掲載する商品はハウスによる真贋の確認の後、本物と保証したものでなければならないという。
「おそらくどのハウスも大差はございません。今年の競売には間に合わないと言われるでしょう」
三人は落胆を覚えて、ソファに腰をおろした。
「うーん、できれば五日までには競りにかけたいんだけど」
「街の骨董商に買い取ってもらうのが一番確実で早道ですが」
なるべく競売が良いと伝えると、職員はうーんと考える素振りを見せた。
「そうですね、業者市に出展する方法がありますよ」
業者市は、仲介業者が集う競売市。彼らが儲けようとする分、一般のオークションより値は下がるものの、初見の骨董商よりは高値で売れることが多い。市の性質上、飛び込みで即日出品される品は少なくないと、職員は続けた。
「優秀で良心的な商師のつてがないならば……」
そこで、職員の話は途切れてしまった。
おじさんありがとう――そう言って、ゴンとキルアが意気揚々とオークションハウスを飛び出したからだ。
彼らの勢い良さに職員共々呆気にとられたAは、アンティークドールを抱えて席を立った。職員に向かって申し訳なさそうにお辞儀した後、慌てて二人の背中を追った。
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冬瀬(プロフ) - つんつんさん» いつもコメントありがとうございます!他作品と被らない展開にしたいと思って試行錯誤してるので嬉しいです!!ヨークシン編途中ですが、ここで続編に移行します。続きも楽しんでもらえると幸いです! (2022年1月16日 6時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
つんつん(プロフ) - 今まで結構な数のハンタ夢小説を読んできたと思っているのですが、このパターンは初めてですごい新鮮味があって続きが気になります!次回も楽しみにしてください! (2022年1月16日 3時) (レス) @page44 id: 6a1440072c (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - つんつんさん» 反応が速い!? 早速すぎてびっくりしました。めちゃ嬉しいです!次回は来年更新しますね〜!つんつん様もよいお年を。 (2021年12月29日 17時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
つんつん(プロフ) - きゃぁ〜!やばいですね夢主ちゃんカッコ良すぎます。こんなんなったらキルアもゴンも惚れちゃいますね私は惚れました。2021年夢主ちゃん大活躍で終われそうでもう何も悔いはないです。そして!またまた良いところで終わりましたね〜!続きも楽しみに待ってます (2021年12月29日 17時) (レス) @page41 id: 6a1440072c (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - つんつんさん» いつも感想ありがとうございます!続き更新しました〜。夢主活躍回!ぜひご覧ください (2021年12月29日 16時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬瀬 | 作成日時:2019年6月24日 0時