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腕相撲は順調に進み、ゴンは現在百連勝していた。少年相手だと高を括っている挑戦者達は、汗だくなゴンを見て、自分の番まで負けないか心配していた。当のゴンは今のところ苦戦していないし、"こんなに楽に金儲けすること"に冷や汗をかいているだけである。
そして客が増えると同時に、なぜかAを囲む人の輪も大きくなっていた。
89億まで残り88万9900勝……
「お嬢ちゃんが相手してくれるなら、負けてあげてもいいんだけど」
そう言って右手を出してきた男性に、Aの表情がわずかに陰った。
しかし次の瞬間、Aに言い寄ってきた男は痛みに顔を歪めた。
「はいはい、次の挑戦もお待ちしてますよー」
声の主はキルアだった。
キルアに全力(念は込めていない)で手を握られた男は、皮肉混じりの言葉とともに一目散逃げ帰ってしまった。
『ありがとう』
「……別に」
素直に感謝の言葉を言ってきたAに、キルアは目線を逸らす。
「お前、さっき……」
キルアは、先程のほんの僅かな表情変化に気付いていていた。その理由が天空闘技場での一戦に起因することも。いつも通りの表情に戻っている彼女に、言及しない方が良いかと言葉を止めた。
Aの手元に収まっていたリングケースを、キルアがひょいっと取り上げた。
「交代」
『え? 大丈夫だよ?』
「お前小さすぎて、野次に埋もれてるじゃん」
『そ、そんなことないよ!』
からかってくるキルアに、ふくれっ面をするA。
「冗談だって。レオリオが晩飯買ってこいってさ」
そう言って、稼ぎたてほやほやの一万ジェニーを手渡された。
Aは三人のオーダーを取って、店に向かおうとする。
実は、キルアが挑戦者達の列を巡回している最中、「嬢ちゃんなら、もっと金を稼げる方法が――」等と、Aに言い寄ろうと企む者が多くいた。その度に、わずかに殺気を含んだ視線をとばして牽制していた。
「A」
『ん?』
「気を付けろよ」
『分かったー』と間延びした返事をすると、絶をして群衆をすり抜けるように、路地に消えた。
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冬瀬(プロフ) - つんつんさん» いつもコメントありがとうございます!他作品と被らない展開にしたいと思って試行錯誤してるので嬉しいです!!ヨークシン編途中ですが、ここで続編に移行します。続きも楽しんでもらえると幸いです! (2022年1月16日 6時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
つんつん(プロフ) - 今まで結構な数のハンタ夢小説を読んできたと思っているのですが、このパターンは初めてですごい新鮮味があって続きが気になります!次回も楽しみにしてください! (2022年1月16日 3時) (レス) @page44 id: 6a1440072c (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - つんつんさん» 反応が速い!? 早速すぎてびっくりしました。めちゃ嬉しいです!次回は来年更新しますね〜!つんつん様もよいお年を。 (2021年12月29日 17時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
つんつん(プロフ) - きゃぁ〜!やばいですね夢主ちゃんカッコ良すぎます。こんなんなったらキルアもゴンも惚れちゃいますね私は惚れました。2021年夢主ちゃん大活躍で終われそうでもう何も悔いはないです。そして!またまた良いところで終わりましたね〜!続きも楽しみに待ってます (2021年12月29日 17時) (レス) @page41 id: 6a1440072c (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - つんつんさん» いつも感想ありがとうございます!続き更新しました〜。夢主活躍回!ぜひご覧ください (2021年12月29日 16時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬瀬 | 作成日時:2019年6月24日 0時