赤に染まる ページ30
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戦いはすでに始まっている。
受験生達は誰とはなく自分のプレートを胸から外して懐にしまい込み、みな誰とも視線を合わせず情報を遮断していた。
重々しい空気。ここにいると窒息しそう。
場を動こうとしていると、甲板でゴンとキルアが話しているのがAの目に留まった。
そういえば、ゴンとキルアのターゲットは誰なんだろう。もしも私……だったら。
ぶんぶんと頭を振って、悪い発想を吹き飛ばそうとする。さり気なく二人に聞いて見ようかな。
『やっほ』
「A！」
『向こうは空気重たいから逃げてきちゃった』
Aは苦笑いしながらゴンの隣に座った。
｢Aは何番引いた？オレら見せ合いっこしてたんだ｣
『二人が教えてくれるなら教えるよ』
ゴンとキルアは承諾の意味で頷いた。
一斉にカードを見せ合う。
ゴンは44番、つまりヒソカ。
キルアは199番……
「A、
『あの三兄弟のうちの誰かだよ』
周りに聞こえないくらいの小声で喋る。Aは視線だけを三兄弟にちらと向けて、キルアに教えた。
「すごいね!! A、もしかして全員覚えてるの？」
『今、残ってる人なら大体ね…… でも、自分のターゲットだけ分からないんだ』
「270？」
「オレ知ってる。三次試験で一緒だった男の人だよ。確か名前はー……ユズリハさん！」
『ユズリハ……!?』
その名を聞いて、Aの頭は真っ白になった。きっと同名の別人だ、彼がいるはずないのだから。そう信じたいのに、心臓の鼓動は速くなっていく。
だって彼はどこにもいなかった、一度も見ていない。でも、もし彼が意図的に姿を眩ませていたのなら。辻褄が合ってしまう。
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ターゲットの名前を聞いてからのAの様子に、キルアは異変を感じていた。ゴンは何も感じてない(というより自分のことで精いっぱいみたいだ)が、Aは明らかに動揺している。それとなく、触れてほしくない雰囲気を醸し出している。
知っている奴だったんだろうか？
ぼーっと潮風にあたっているAをキルアは心配そうに見ていた。
「A……」
『……海って綺麗だよね。本で読んだとおりだった』
Aの吸い込まれそうな蒼い瞳が海と重なる。Aはキルアがいるのにたった今気が付いたかのように、キルアに向かって微笑んだ。
いつもとは違う、少しでも触れれば壊れてしまいそうな儚い笑み＿＿
まるで薄く張られた氷みたいだった。
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冬瀬(プロフ) - 作者です。誤字等、まとめて修正しました。 (2022年3月5日 9時) (
レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - 妄想癖さん» 質問ありがとうございます！光の加減で、白色(限りなく無色透明)に見えるイメージです(言葉にしがたい)。光の反射とかで頭皮は見えないはず 笑。。「宝石の国」のキャラクター達みたいな感じです(気になる方は調べてみて) (2021年2月16日 13時) (レス) id: d80ecf15a6 (このIDを非表示/違反報告)
妄想癖(プロフ) - 無色透明ってことは禿げて見えるんですか？！ (2021年2月8日 0時) (レス) id: 36f953a85d (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - 作者です。ちまちま修正中。 (2020年2月27日 23時) (レス) id: d80ecf15a6 (このIDを非表示/違反報告)
しらほ(プロフ) - フォスさん» きっとトプ画のことですね？？多分。一言添えていますがトプ画は雪兎様に描いて頂きました。とても可愛いですよね！！ (2019年2月24日 23時) (レス) id: 5f12e77188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬瀬 | 作成日時：2018年8月15日 19時
