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そうこうしているうちに、過酷なマラソンを終えた受験者達が集まり始めた。
「そうだ!A、ちょっと待ってて」
そう言ったゴンは、金髪の青年とスーツの男性を連れてきた。彼ら、特にスーツ姿の男の方は、マラソンを終えたばかりで息も整っていないようだ。
「A紹介するね。二人はクラピカとレオリオ。試験会場に行くとき出会ったんだ」
『初めましてAです』
「私はクラピカだ。よろしく」
「レオリオだ、よろしくな」
もう少し大きくなったらオレと仲良く……__と続けたレオリオの言葉は、クラピカの制止によってAには聞き取れなかった。小首をかしげるA。
『仲が良いんだね』
そう言ってくすりと笑えば、「誰がこんな奴と」と声を揃えたクラピカとレオリオ。二人は顔を見合わせて睨み合っていたが、しまいに笑い始めた。試験中とは思えない和やかな空気が流れる。出会ったばかりの彼らとの距離が縮まったように感じるAだった。
安息も束の間、地下道の出口が容赦なく閉められた。ここに残っている受験生は311名。
「ヌメーレ湿原、通称詐欺師の塒」
気を抜くのはまだ早い。一次試験はまだ終わっていないのだ。二次試験会場に向かうにはここを通り抜けなければならない。
サトツは淡々と説明を続けた。この湿原に住まう生物達は、獲物を欺いて捕食することに長けている、と。
「騙されると死にますよ」
その矢先__
「そいつはニセ者だ!! 試験官じゃない、オレが本当の試験官だ!!」
『早速お出ましだ……』
人面ザルを持った自称試験官。
忠告の直後だというのに騙されている受験生にAは呆れた。そもそも人面ザルは人に化けることで獲物を捕らえると本で読んだことがある。
そのとき、後ろから殺気を感じたAは直感的に顔を反らした__
と同時に、ヒュッと風を切ってトランプが通り過ぎ、そのまま偽試験官に刺さった。数本の毛束がはらりと落ちる。
『っ危な』
トランプを投げた張本人であろう男性と目が合った。まるで道化師を思わせる様相をしたこの男、試験官を判別するため両者を攻撃したのだ。確かに簡単な方法だが、普通は実行しない。
Aは44番には出来るだけ関わらまいと決めた。
(もしかしなくても、さっきのわざと……?)
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冬瀬(プロフ) - 作者です。誤字等、まとめて修正しました。 (2022年3月5日 9時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - 妄想癖さん» 質問ありがとうございます!光の加減で、白色(限りなく無色透明)に見えるイメージです(言葉にしがたい)。光の反射とかで頭皮は見えないはず 笑。。「宝石の国」のキャラクター達みたいな感じです(気になる方は調べてみて) (2021年2月16日 13時) (レス) id: d80ecf15a6 (このIDを非表示/違反報告)
妄想癖(プロフ) - 無色透明ってことは禿げて見えるんですか?! (2021年2月8日 0時) (レス) id: 36f953a85d (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - 作者です。ちまちま修正中。 (2020年2月27日 23時) (レス) id: d80ecf15a6 (このIDを非表示/違反報告)
しらほ(プロフ) - フォスさん» きっとトプ画のことですね??多分。一言添えていますがトプ画は雪兎様に描いて頂きました。とても可愛いですよね!! (2019年2月24日 23時) (レス) id: 5f12e77188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬瀬 | 作成日時:2018年8月15日 19時