¢。１８３。¢ ページ44
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突然のことに、何だか信じられなくて
大野くんからこんなものを貰えるなんて、予想だにしなくて
私に…？って、目だけで問いかけると
少し緊張したように、大野くんは口の端を上げて笑った。
そ…っと、それを受け取って
何だか夢みたいな、ふわふわした気持ちで
鮮やかなブルーの布クロスの表紙を、優しく指先で撫でる。
ずっと見てみたいと思ってた、大野くんの目を通した世界が
この中にたくさん詰まってると思ったら
もうそれだけで胸が熱くなって
迫り上がる想いに、息が詰まりそうで…
どうしたって震えてしまう手で
そ…っとページを操ると
そこに現れた、彼の目で切り取られた世界が
ふわ…っと柔らかい空気に包まれて、私の瞳に映った。
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通い慣れた、私たちの校舎
目映いばかりの木漏れ日を通して写し出されたそれは
木々の緑とのコントラストに映えて、その白亜を際立たせていて…
校門のすぐ傍にある、桜の木
春先の花壇に咲いた、パンジーやマーガレット
誰にも気づかれないようにひっそりと咲いたたんぽぽ
そのどれもが優しいおひさまの光を浴びて
咲き誇るその瞬間を切り取られた喜びに、笑っているみたいだった
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６月の雨に濡れたあじさい
どこに行き着こうか迷うみたいに、窓を伝う雨粒
真っ青の空を、飛行機雲を引き連れてふたつに割っていくジェット機
誰もいない、夕暮れの教室
ヘンテコなおじさんが描かれた、いつもの黒板
その静けさが聴こえてくるような、真っ直ぐに伸びる無人の廊下
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大野くんの目を通した世界は
こんなにも…、優しい色とあたたかい光に包まれていて
いつもは気づかずにやり過ごしてしまいそうな、ありふれた風景も
この四角の中では、まるで生命を吹き込まれたみたいに見えた
そして…
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「…‥、これ…」
智「……」
「……どうして…？」
智「…、」
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そこに切り取られていたのは
放課後の教室、窓際で本を読んでいる私の横顔
髪の長さからして、たぶん入学したての頃
この頃はまだ、確か
大野くんと口すら利いたことなくて…
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不思議に思って、顔を上げると
少し気まずそうに、目を泳がせた大野くんは
まるで観念したみたいに
重たそうな唇を、…そっと開いた。
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ハルキ(プロフ) - しずくさん» しずくさん、コメントありがとうございます。私もあのお二人が大好きで、他にもタイトルお借りしちゃってるお話がいくつかあります(^^; いいですよねぇ、彼らの音楽...。今このお話しは休止中ですが、別のお話が完結したら戻って来ます。そしたら是非遊びに来て下さい。 (2020年5月7日 0時) (
レス) id: dcc28921ba (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - 初めまして。題名に惹き付けられ(歌ってる二人組が大好きなので)読みだしたら止まらず一揆に読まさせて頂きました。こちらのお話の続きを読みたいです！首を長くして待っていますのでよろしくお願いします。 (2020年4月14日 23時) (レス) id: 9da94b7189 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - こんにちは。このお話、何度読んでも好きです。このお話の先をずーっとずーっと待ってます。いつか続きを読ませて下さいね。楽しみにしてます。 (2017年12月12日 9時) (レス) id: b1ca40d54c (このIDを非表示/違反報告)
yumi(プロフ) - この作品大好きなんです。何時までも待っているので、ぜひ続けて下さい。お願いします。 (2016年12月9日 22時) (レス) id: 50e5f43973 (このIDを非表示/違反報告)
ハルキ(プロフ) - しほさん» しほさん、ありがとうございます(*´ω｀)♪このお話が占ツクでいちばん好き、と言っていただけるなんて、もう嬉しいやら申し訳ないやらです。。。更新再開したら、お待たせした分ふたりを思いきりイチャイチャさせようと思いますので、楽しみにしてお待ちくださいね。 (2016年6月19日 10時) (レス) id: b6e2b0db31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハルキ
| 作成日時：2015年9月15日 8時
