約束 * 羽生結弦 *

#愛 ページ9

『ゆづる……』









「Aは、…自分勝手だよ、ずっと……









スケート、…勝手に辞めるし、……俺に迷惑だからとか、何言ってんの…！？









ずっと、そばにいるって言ったじゃん…………





癌のことも昌磨が言うまで俺だけ知らなかった、

なんでそんなこと………









もっと早く言ってくれれば、俺にだってできることいっばいあったのに……









俺にとってAがどんな存在か、分かってないでしょ!!!!」









『分かってるよ、だから言わなかったの』









真っ直ぐな瞳で、俺を捉える。









『私ね、結弦に言おうと思ったよ。何度も。







でもそしたら、結弦無理するんじゃないかなって。









結弦、昔から私のためにいっぱいしてくれたから…









私、結弦のスケートが好きだよ。だから、そのままの結弦のままでいて欲しかったの









きっとこのこと知っちゃったらプレッシャーになるでしょ？









結弦はもっともっと上に行ける。世界中を魅了出来る。結弦にはそんなすごい力があるんだよ









だから、昌磨に言ったの。









残り半年になって、結弦が聞いてきたら言ってって。』









「平昌の、時期」









『…うん。ちょうど、余命が残り僅かになるときと重なるから。









あのね、私は結弦から離れたりしないよ









ずっとそばにいるよ。









だから、




最高の贈り物で、私を見届けてほしいの』









最後まで図々しいね、とAは優しく微笑んだ

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