【HQ】Ⅳ.トリップしたけど原作沿いに戻すのは無理かな【トリップ】 (ページ18)

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○ ページ18

……

　バタン。
　音がして、そして人を心配する声が聞こえてくる。
　そのを見てみると、及川さんが倒れていた。

『……っ！及川さん！』

　一瞬声が出なかったことに焦ったが、今はそれどころじゃない。

「及川。大丈夫か。どこか打ったところは？」
「だ、大丈夫……」

　溝口君が及川さんに確認を取る。及川さんは立とうとするが、力が入らないようだ。

『溝口先生！私が行きます！』
「行けるのかお前」

　冷たい視線で私にそう言ってくる。

『選手の手を煩わせるわけにはいかないでしょう？』
「……岩泉！お前も一緒に行け！その方が及川も安心だろ」

　私が負けじと言い返したら、溝口君の方が折れて、岩ちゃんと及川さんを運ぶことになった。
　少し重いなぁと思いながらも、言った事はちゃんとやらないと駄目なので我慢する。とりあえず、近くに居た舞さんにチームの事は任せておいた。ごめんなさい。

　医務室に着いたら、及川さんをベッドで寝かせた。
　岩ちゃんに体温計を渡して、及川さんの熱を測ってもらい、その間に一応水を買ってきておいた。

『どうでした？』
「……三十九度。熱ある」
『なんでそんな片言なんですか』

　苦笑いで岩ちゃんにそう言ってみると、及川さんがんん……と唸った。

「……あれ？俺、体育館に居たのに……」
「急にお前が倒れたんだよボケ！」
「岩ちゃん酷い！及川さん今起きたところなんだからもうちょっと優しくしてくれてもいいじゃん！！」
「うるせえよ！人様に迷惑かけんじゃねえ！！」
『急に起きたと思ったら喧嘩勃発しないでください』

　ため息をつきながらもそう言う。とりあえず及川さんが起きてよかった。

『痛いところとか無いですか？』
「うーん……特にはないよ」

　少し体を動かしてからそう答える及川さん。

『それじゃとりあえずこの水飲んでくださいねー』
「なんか仕込んでそう……」

　及川さんはぐちぐち言いながらもペットボトルに口を付けて水を飲む。私そんな悪戯っ子に見えるかな。

『とりあえず今日はこれ以上やらない方がいいと思いますよ』
「……分かった」

　私がそう言うと、渋々という形だったが、及川さんは頷いた。

「ってかお前なんで体調管理もろくに出来ねえんだ」
「うるさいなぁ岩ちゃん！しょうがないじゃん！」
「しょうがなくねえ！！なんでお前は他人の事には早く気付くのに自分の事には疎いんだよ！馬鹿か！！」

　どうやら岩泉お母様のお説教はまだまだ続くようだけどね……。

……