【HQ】Ⅳ.トリップしたけど原作沿いに戻すのは無理かな【トリップ】 (ページ17)

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○ ページ17

……

「次ー腿上げジャンプ五十回ー」
「ウーッス」

　そんな声と靴の擦れる音が体育館に響く。
　ウォーミングアップって意外と疲れるよね。やってみたら分かる。
　腹筋、背筋、腕立て、腿上げジャンプ、馬跳びをそれぞれ五十回ずつやって、柔軟をするのがウォーミングアップ。もう準備運動の域を超してると思うのは私だけなのかな。絶対筋トレだわ。
　水筒やタオルはやったし、午前中はもう特にすることが無いのでボーっとしていると、体育館の入り口にいつぞやの猫が居るのが目に入った。
　にろ達の方を見てみると、一分間休憩しているところだったし、私達がいるところは体育館の入り口付近だったから、少しだけ外に出てその猫を撫でる。

「ニャー」

　そう鳴きながら私の手の甲にスリスリしてきて、キュンとくる。微笑みながらも撫でるのを続けていると、後ろに気配を感じた。

「……なにしてんだ？」

　振り返ると案の定二口様がいて、少し不機嫌そうな顔をしている。

『猫がいたので撫でてましたごめんなさい』
「……は？どこにもいねえけど」
『え……？』

　猫がいた方に目を戻すと、にろの言う通り猫なんかどこにもいなかった。
　少し困惑しながらも、さっきまではいたんです。と言ってみても、ため息をつかれて、速く戻るぞ。と返された。

『いたんですってばー』
「はいはいそうかよ。そんじゃあボール出しよろしく」
『分かりましたー』

　そんな会話をにろとしていると、作君や白布とかに不思議そうな顔をされた。

『いきまーす』

　セッターとスパイカーと拾う人＿＿今は白布とにろと作くん＿＿が位置についてからそう言って、ボールをにろの方にフワっと投げる。
　それをにろがレシーブして、白布の上に上げて、トスを上げて、打って、作君が拾う。
　そしたら次はにろが拾う人になって、スパイカーはすなりんになる。
　また打ったらすなりん拾う人、力君スパイカーみたいに、ずっと回っていく。
　ちなみにセッターは変わらないんだってよ。

『ナイスキー』

　そう声をかけながらもボールを投げる。
　足の位置とか、体をどう使ってるかとか、腕の振り方はどうとか、そういうのが間近で見れるからマネージャーっていいよなぁって心底思う。
　だって一年って基本ボール拾いじゃん。楽しいからいいけど。
　近くでも邪魔になるから見れないしさ……本当にベンチ入りしてる人羨ましいよ。
　少しネガティブになりながらも、自分はまだまだ練習不足だから頑張ろうと思ったのだった。
　……ネガティブにはなったら駄目だな！！ポジティブ！！

……