【HQ】Ⅳ.トリップしたけど原作沿いに戻すのは無理かな【トリップ】 (ページ12)

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○四日目ページ12

。。。

　謎の恐怖心に駆けられ、目を覚ました。時間を確認してみるとまだ朝の四時だったが、外は少し明るい。
　寝ようと思っても寝れなかったのでランニングに行くことにした。
　スマホで道を調べ、持ってきていたジャージに着替えて、置手紙を残して外に出る。

『……さむっ……』

　風が冷たくてそう声を零すが、なにかの鳴き声にかき消された。
　スマートフォンにイヤホンを繋げ、曲を流して走り出す。タッタッタッタッと一定のリズムで足が地面に着く。曲を流してはいるがほとんど聴いていない。
　……頭の中はさっきの夢についての疑問で埋め尽くされていた。
　真っ白な空間にいて、誰かに一方的に語りかけられているような夢だった。その言葉も部分的にしか拾えなかったが、どうして怖いと感じたのだろう。

『今日で九日目……かなぁ……』

　あの事について考えるのは頭が痛くなりそうだから、隅に追いやり、別の事を考え始める。
　九日目というのは、私がこの世界に来てからの日数だ。多分あっていると思う。
　私がこっちの世界にいる間、現実世界はどうなっているのだろうか。まあこの世界も私にとっては現実世界なのだが。
　よく、トリップして戻ってきた時は時間は進んでいなかったとか、そういう事は聞いたことはあるが、それが本当かどうかも分からない。トリップなんて妄想の中の出来事かもしれないのだから。
　でも、欲を言うならば、もう少しこの世界に留まっておきたい。
　私の事を暖かく迎えてくれる人もいれば、逆に冷たく接してくる人もいる。そんなこの世界が妄想の中の世界って事など全然感じられない。私だったら逆ハー状態が好きなんだと思うし。

『……あ』

　呟いて足を止める。
　「もし＿＿なければ＿＿殺す」そう夢の中で語りかけていた人物は言った。
　殺す？なにを？私を？だとしたらどうして？
　考えれば考えるほど疑問点が出てきて、本当に嫌になる。
　疲れてきたし、そろそろ戻ろう。
　そう思い道を確認してみると、遠いところまで来ていた。驚きながらも迷わないようにちゃんと確認しながら足を進める。

「ニャー」

　そう猫の鳴き声が聞こえ、バッと顔を上げる。すると塀の上に座っている白い毛並みの猫がいた。片方が黄色でもう片方が青っぽい黒の瞳をしていて愛らしい。
　だが私が撫でようとしたらいつの間にかどっかに去っていた。
　今日はまだ少ししか経ってないのに不思議な事ばかり起きるなぁ……と思いながらも、私はまた合宿所へと足を進めるのだった。

。。。