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<34> ページ38

『え...?何で…ぐぁ!』

Aに襲い掛かる薔薇。
異能の持ち主であるAにも何があったのかわからない

時雨「A!!」

悲鳴に近い、叫び声。
それは唯々室内に反響するだけだった

太宰「…どうなっているんだ、いったい」
中也「わかんねぇ。けど、Aが危ないのは確かだ」
森「太宰くん、君の異能でどうにか出来ないのかい?」


狼狽える人間達。
皆の目の前で起こっているのは、想像とはかけ離れたものだった

『だめ、だ...近、付くな…!
こいつ、完全に、僕の手、離れ、てる...
今まで、縛り続けた、報いか…
皆、直ぐに、部屋を出るんだ!』

時雨「くそ!どないなっとねん!」

永世「堕殺だ...
異能の持ち主が生きることを放棄したときに起こる現象さ。持ち主の感情に関わらず人を襲い続け、その場の生けとし生けるものを殺す、悪魔界でも恐れられる現象だ。」

中也「なんだよ、それ。
俺等が逃げたら、Aはどうなんだよ!」
『云ったじゃん、生けとし生けるものを殺す。
当然、縛り付けたのは僕自信だ。この薔薇に殺されるのさ』


死を、受け入れた...
刹那、一斉にAを貫く薔薇達。

時雨が、泣き叫ぶ。

太宰が、目を見開く。

森が、顔を顰める

中也が、動き出す。



皆の目線の先で、苦しむA。
死のうにも死ぬことができない。
Aの命は時雨。

つまり、時雨が生きている限り、Aが死ぬことはない

只脳天を突く痛みを感じながら、苦しみ悶える


時雨は分かっていた。
何故、あれだけの傷を負いながらも死ねないのか

知っていたんだ。でも、どうすることも出来なかった。

生きたかったんだ。
どうしても、心を惹かれた彼の側に居たかったから。

時雨「止めぇ、止めぇや!お前らはワイの支配下にある筈や!契約者であるAに傷を付けることは許されへん!!」

永世「無駄だよ。一度手を離れれば制御は不可能。
そうだね…太宰さんの異能をAに使えば、何とかなるだろうね。でも……」


ジャッ!!


堅い音を立てて攻撃を仕掛ける薔薇達。
ポート・マフィアの面々は己の戦い方で身を守る。



『時雨、お願いだ』


色々な音が飛び交うなかで


時雨の耳にははっきりと聞こえた。


ーその手で、殺してくれー


ー君に殺されるなら、悔いはないー


ーさぁ、その手で、全てを終わらせようー

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作者名:仮面の少年 x他1人 | 作成日時:2016年3月8日 23時

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