研究所の薔薇ｰ男主ｰ【文スト】 (ページ26)

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何ヶ月振りかに街にきた。
やっぱり人混みは嫌いだな、とか何とか考えながら目的地を目指す

数十分歩いたら目的地に着いた。
meーberaーと書かれた珈琲ショップ。躊躇わずに中に入る。

カラン…と単調な音と共に珈琲独特の匂いが漂ってくる。
良い香りだ。ここに来てから一番に考えるのはいつも決まってこれだった

『マスター、下りさし振りですー』
マスター「お久し振りです、A様。本日はご自身で…？」
『うん、一杯頼んで良いかな？あと砂糖と珈琲も』
マスター「はい、奥にお客様もおられますのでお話でもどうぞ」

お客様？珍しいな、僕にお客さんなんて
まぁ、仕事は片っ端から引き打てるのが僕のモットーだから問題ない、かな

『…何でここに居るの？』
中也｢話がしてぇからだ｣
『僕は話すことはない』
中也「俺があるんだ。聞くだけ聞けよ」

嫌だったんだ。本当に
誰かを傷付けるしか出来ない自分。
誰かの救いも受け入れられない自分がだいっ嫌いなんだ

『帰って良いかな。僕は珈琲と砂糖を買うためだけに部屋を出たんだ。君と話すつもりなんて毛頭ない』

冷たく言い放つとそこを離れた。
でもふと、時雨の云った一言が頭を横切った

ｰ呉々も素直に、なｰ

素直、か...
素直なんて今更どうすれば良いのか分かんないさ

「おや、もう宜しいのですか？」
『……』
「あなた様が来られる少し前に、幼い子がいらして、A様と中也様を仲直りさせたいとか…」

あの馬鹿...
仲直りするまで帰ってこなくて良いって？
勝手なことして、戻ってもらおうかな。僕の躯に

『はぁ、話してくる』
「ごゆっくり」

全く、一体何を話すって云うんだ