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<20>ー時雨と一月 3ー ページ22

『時雨…!時雨!!』

足が震える。息が、上手く出来なくなってきた。
周りを見渡した。…何も考えずに、ね

『っ!みん、な...?』

視界に入り込んできたのは、変わり果てた姿の皆。
白衣は白い筈なのに、皆のは真っ赤。鮮やかな赤だった。

『嘘つき...嘘つき嘘つき嘘つき!!!!
独りじゃん!ねぇ!時雨、何処に行ったの?!』

泣いて叫んで喚いても、返事は返ってこない
僕だけの広すぎる空間に、僕の声がコダマする

僕にとって独りは、やっぱり死よりも辛かったんだ。
時雨の言葉に騙されたって、思ったよ

『ヒック,ねぇ、何で?』
?「あれ?子供が何でこんな所に…」
『ビクッ))ぁ...』

そこに表れたのは、事態の収集に来た首領だ。
今よりも若かったね。でも優しさは変わらなかった

森「大丈夫かい?」
『……それ』
森「ん?」

僕は首領の腰についていた銃を指差した。
僕を殺そうとした、僕の仲間を殺した奴等が持ってた物だ。それがあれば僕も...


僕は無意識に、銃に手を伸ばしていたんだ。
首領に止められるまで、気付かなかった

『ぁ、ごめん、なさい...』
森「…此処の人達は、君が殺したのかい?」
『違う!!』
森「では、誰が?」

黒い笑みを浮かべる首領。答えられる訳無い
そりゃあ勿論僕じゃない。でも誰か?僕が知るわけがない。

『知らない...でも、僕じゃ』
森「疑われて、仕方ないんじゃないか?君、異能者だろ?」
『え?異能、者?』

もう訳が分からなかった。行き成り犯人かと聞かれたり、異能者だと云われたり

森「君はなぜここに?」
『僕は、此処の研究者だ。』
?「あーあー、A、早速変なのに巻き込まれてん?」

時雨の声だ。何処に居るのか分からないけど、確かに時雨の声だった

時雨「手、翳してみ?」
『手?』

云われるがまま、手を前に出す。
僕の立ってる床が、歪むのが見えた

森「何をする気だい?」
『……』

首領の言葉に耳を貸さずに只床を見続ける
黒く淀む床。戸、中から勢い良く二本の蔦が出てきた。
体をぐるぐると取り囲むように蔦が延びる。

森「ほぅ...矢張か。君、私と一緒に来給え」
『え?』
森「君、行く場所はないんだろう?なら私が、君に居場所をあげよう。」

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作者名:仮面の少年 x他1人 | 作成日時:2016年3月8日 23時

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