自分が自分に戻るため ページ41
あいつを待つことにする。神無月家がどうなろうと、知ったことか。俺は…俺であるだけだ。』
ベッドから立ち上がり…キャビネットの方へと歩いて行く。キャビネットの中から小振りのナイフを取り出し…
髪を軽くまとめ、髪にあて、一気に引いた。ぶちぶちと引き千切られ、切られて行く髪…
パラパラと、カーペットの上に切られた髪が落ちる。持っていた髪を、ゴミ箱の中に捨て、頭を振る。
「…それが、お嬢様の覚悟と言うことですか…ならば、私も…」
『…それは、許さない。私は私であるために、髪を切ったの。だって…あの時は、このくらいの髪の毛だったでしょう？
あの頃に戻れるとは思わないけれど…私なりのケジメよ。それくらいわかって。アサノ。』
「…お嬢様…名前…」
シルク、という私が神無月蘭の時につけた名前とは違う、元の名前で呼んでやる。
…これで元の状態に戻ったとは言えないけれど…
「…蘭…ここに座れ。ちゃんと切りそろえてやる。」
サヴァン…いいえ、ルオであれ、元の口調に戻る。甲斐甲斐しい、霜月に教えられた口調ではない。
元の…要点しか話さない、ルオに戻った。
「…もう…どうなっても、知らないからね。蘭。責任は、蘭にあるんだから。でも…ううん。私も切るよ。蘭。
だって私だって、初めて蘭とあった時は、短かったでしょ？あれは…蘭に似せて、髪を伸ばしていたんだよ？
私もアサノに戻るには…私達が最初に出会った時に戻るには…髪の毛を、切らなくちゃ。」
そう言って、私が髪を切ったナイフを手に取り、自分の髪に滑らせた。
パラパラと茶色の髪の毛が落ちる。同じ様に頭を振って、私が座っている椅子の真正面に座った。
『…綺麗な髪の毛だったのに…良かったの？』
そう、小首を傾げてそう聞く。それに対し、すっきりとした様な顔で…
「うん。それよりも、蘭の方が勿体無い。綺麗な髪の毛だったのに…良く、褒められていたじゃない。それなのに…
良かったの？」
と聞いてきた。ふふっ…と笑みを零してこう答えた。
『…あんなもの、社交辞令に決まっているでしょ？真に受ける方がどうかしてるよ。
ひとつでもふたつでも褒めないと、悪く思われる世界だから。だから…できるだけ、褒めなくちゃ、いけなかったの。
そうなると、目についた部分から、褒めないと始まらないでしょ？私は良く、髪に鈴のついた簪をつけていたから…
音が鳴って、簪に1番に視線が行ったんじゃ、ないのかな？
ねぇ…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カンナ(プロフ) - どっちもきになりますがハッピーエンドが見たいです！！。ただもし余裕があるのなら分岐点を作ってハッピーバッドどちらも書くのがいいかと思います（自分がどっちのエンドも気になってるだけですすみません；）これからも更新楽しみにしています。頑張ってください＾＾ (2014年5月17日 14時) (
レス) id: 86dbfd6970 (このIDを非表示/違反報告)
persepone(プロフ) - ハッピーエンドでお願いします!! (2014年5月17日 4時) (携帯から) (レス) id: 289cdd45b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鋳薔薇 | 作成日時：2014年1月1日 15時
