迷子と番人 草原と川 ページ4
これは、とある少年の夢である。
その夢は、将来のものであり、睡魔の見せるものだ。
「ここは…オレ、何してんだろ…」
周りを見渡しても、草原が広がっていた。
どこから来たのか、風が少年の髪を揺らした。
揺れたのは、髪だけであった。
少年はあても無く歩き出す。
信頼するトモダチの名を呼びながら。
信頼する教師の名を呼びながら。
「おーい、みんなー！」
いくら叫んでも、自分の声が何処かで木霊するだけ。
不気味さに震えた少年はついに座りこんでしまう。
二分も歩いて居ないのに、何故かとても疲れる。
空が曇りだした。雨が降るのではないか。
ふと、空を見上げていると塔が目に入った。
そこでやはり、というべきか雨が降りだした。
まるで、少年を塔に導く様に。
「うわ、降ってきた！あれで雨宿りしよう！」
みんなも雨宿りしに来てるかも知れない。
そんな淡い願いを持って。
中はアンティークショップの様だった。
かっこよくもない。アンティークショップ。
「いらっしゃーい。あーっと、どちらさん？」
ハンマーを手にした藍色の二つ結びの少女が少年を見つめる。
白黒の逆転したセーラーを身に纏った、少年の知る人物にそっくりな少女だった。
じっくりと、値踏みするかのようにな目に少年は怖じ気づく。
「え、あの(見るからに危ない人だ！！)」
「へぇ。アンタ、アレのトモダチか。
つまり、狩れないのか。つまらないな。」
狩るとはどういう意味か。
少年が問う前に少年は堕ちる。
何処へ？さぁ、何処へだろう。
「ふふん、まぁ忘れた頃に顔を出せばいいさ。
ミコトのトモダチ。
沢田 綱吉」
綱吉は情けない声を上げ、堕ちて言った。
何処へ行くのだろう？
さぁ、何処へだろう。
何処かへ行くんだよ。
それは何処？
知らない。
蟹の兄弟が、また泡を出して遊んでいる。
川蝉に食われるのを待っている。
首を竦め、待っている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
悪林檎@べ、別にまた忘れた訳じゃ(((プロフ) - コメントありがとうございます。更新頑張りますね。『ロクデナシ』の解釈は多数あります。解釈は自由なので、全てが正解なのです。 (2015年2月17日 19時) (
レス) id: a90f48484b (このIDを非表示/違反報告)
血染め猫 - 続篇、おめでとうございます。 「華鳥風月」の「ロクデナシ」とは太宰治の「人間失格」ですか？よく分からないので間違えていたらごめんなさい。 (2015年2月11日 18時) (レス) id: 88966f633c (このIDを非表示/違反報告)
??? - 続編、おめでとうございます！ 更新頑張ってください。 (2015年2月3日 23時) (レス) id: 50a2222233 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
